目の前に圧巻!!の光景 福岡市中心部にある造船所の進水式が話題に
くす玉が割られ、風になびく紙テープ――。長さ30メートルを優に超しているであろう紙テープが、解き放たれた巨大生物のように宙を泳いでいた。間近で繰り広げられる迫力のシーンに、見学に訪れた人たちは「おーっ」と感嘆の声を上げ、手を頭上に伸ばして盛んに写真を撮っていた。 福岡県太宰府市から訪れた横光悦子さん(67)は、船が遠く陸を離れた後もしばらく、スマートフォンを向けていた。「感激しました。最後は新幹線のように速かったですね。本当に来てよかった」と興奮気味に話してくれた。造船所によると、この日の見学者は約450人だったそうだ。
一緒に見守る”瞬間”
「子どもや地元の人に、船や海に親しみをもってほしい」という思いから、福岡造船はかねて、進水式などに合わせて所内を一般開放している。近隣住民らが「そろそろ完成かな」と心待ちにし、新造船が海に浮かぶ瞬間を一緒に見守る”イベント”として地域で親しまれてきたようだ。
造船所が昨年、SNSでの発信を始めたこともあって、最近では遠方から訪れる人も増えたそうだ。SNS上では「すごい迫力」「感動した」といった投稿が飛び交う。多いときには1000人近くが進水式の見学に訪れるという。
この日、陸を離れた船は、これから洋上で内部の部品などを取り付ける艤装(ぎそう)の工程に入る。2025年2月に依頼主に引き渡され、世界の海へと旅立つ予定だ。 造船所では、12月頃に予定されている次回の進水式に向けて、新たな船体がまたこれから組み立てられていく。
読売新聞