山本由伸通訳、園田さん「世界一」の涙…「サイ・ヤング賞とって、また優勝したら…」
ドジャースがニューヨークでワールドチャンピオンに輝いた。山本由伸投手の通訳、園田芳大さんの目には光るものがあった。試合後、ヤンキー・スタジアムのグラウンドで優勝セレモニーを終えた後、園田さんの姿を見かけた大谷翔平は「泣いてる?」とニヤリ。慣れない環境で1年奮闘した46歳は感極まった。 ◆似てる?大谷翔平がアップした山本由伸にそっくりな…【画像】 映画業界から別世界に転身。毎日が必死だった。英語は堪能。野球も昔から大好きだったが、野球現場は初めてで、野球用語に耳が慣れていなかった。試合後の取材対応では、大勢のドジャース番記者に囲まれ、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。記者それぞれ声のトーンも、大きさも違う。何度も聞き返した。 行き詰まった時は、日本選手の通訳を経験した先輩方にに助言をもらった。どう聞いて、どう訳せばいいのか。選手との距離感、どう立ち振る舞えばいいのか。46歳での新たなチャレンジはタフだった。「もう、毎日本当に時間がなくて…」。そう言いながら、心で苦闘しても、現場では笑みを絶やさなかった。 そんな「相棒」を、山本はしっかりと見ていた。ワールドシリーズ開幕前、こう語った。「お互い、こっちにきてルーキーというか…。園田さんは特に違う業界から入ってきたので苦労とか、たくさんあったと思う。でも、あまりそういう姿を見せることなく…。園田さんにとってはすごい1年。ワールドシリーズまできて、最後泣かせたいなと(笑)」。 山本はワールドシリーズでも快投した。第2戦で7回途中1失点。ソロ本塁打の被安打1で、チームを勝利に導いた。「世界一」を決めた日、山本は勝利の美酒を浴びながら、通訳を見た。「(園田さん)泣いてたんですけど、強がってるっす」。こう言って笑った。 お酒が弱い園田通訳はシャンパンを浴びまくった。泣いてたよね?と聞くと…。「まだまだ。来年、由伸君がサイ・ヤング賞とって、また優勝したら本当に泣きます。この涙は、自分が生まれた時のこととか思い出して(笑)」。真っ赤に目をはらし、強がった。(阿部太郎)
中日スポーツ