アリババが1-3月96%減益、保有企業で評価損-主要部門の成長小幅
(ブルームバーグ): 中国の電子商取引最大手、アリババグループの1-3月(第4四半期)は、6.6%の増収となった。主要事業のeコマースとクラウドサービスの成長は小幅だった。
売上高は2219億元(約4兆8000億円)に増加。アナリスト予想は2198億元だった。純利益は96%減と予想以上に落ち込んだ。保有する公開企業の評価額引き下げが響いた。株価は米国市場14日開場前の時間外取引で約5%下落した。
アリババの決算は中国の消費者心理を反映するため、投資家の注目度が高い。PDDホールディングスや字節跳動(バイトダンス)などライバルにシェアを奪われていることへの懸念もある。民間セクターを冷え込ませた数年にわたる当局の締め付けを経て、成長を取り戻そうとしているアリババだが、中国の不安定な景気回復という逆風にも直面している。
同社は14日、決算と併せて40億ドル(約6300億円)の通期配当を発表した。純利益を大幅に押し下げた評価損については、どの銘柄で計上したかは明らかにしなかった。アリババは商湯集団(センスタイム)や高鑫零售(サン・アート・リテール・グループ)などの公開企業株を保有している。
主要部門の中国eコマースの1-3月売上高はわずか4%増、クラウドは3%増にとどまった。
昨年9月に就任した呉泳銘最高経営責任者(CEO)と蔡崇信会長は、張勇前会長兼CEOの下で推進された物流部門、菜鳥網絡とクラウド部門上場の構想を中止し、顧客体験とイノベーションと呼ばれるものに再注力することを決定した。
呉氏は、新型コロナウイルス禍、政府のインターネット取り締まり、中国経済の低迷とアリババが前例のない混乱に見舞われた後に就任した。
今年、eコマース部門とクラウド部門を直接指揮する立場になった呉氏は、カスタマーサービスを強化し、商品ラインナップを充実させ、簡単に返品できる機能などを導入しようとしている。クラウド分野では、中国電信(チャイナテレコム)や華為技術(ファーウェイ)から顧客を取り戻すために価格を引き下げている。