58歳のマイク・タイソン、 ユーチューバーに判定負け 「8ラウンド闘えると自分だけは信じていた」
◆プロボクシング ▽ヘビー級2分×8回戦 〇ジェイク・ポール (判定) マイク・タイソン●(11月15日=日本時間16日、米テキサス州アーリントン AT&Tスタジアム) プロボクシングの元世界3団体ヘビー級統一王者マイク・タイソン(米国)が15日(日本時間16日)、NFLダラス・カウボーイズの本拠地である米テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムでユーチューバーでプロボクサーのジェイク・ポール(米国)とヘビー級のノンタイトル8回戦(1ラウンド2分)で対戦。0―3判定負けし、58歳での勝利は飾れなかった。 立ち上がりこそ、積極的にジャブを突いてプレスをかけたが、ポールも強打で反撃。タイソンは上体を振って前に出るものの、徐々に動きが鈍くなった。5回終了間際にはポールが舌を出して挑発したものの、その後、タイソンのラッシュは見られなかった。インターバルではタイソンの大きな息づかいがマイクに拾われた。8回にはゴングが鳴る前にポールがタイソンにお辞儀。終了の合図が鳴ると、おでこをつけて互いの健闘をたたえた。 試合は判定へ。72―80、73―79、73―79の0―3でタイソンは敗れた。「私はマイクを尊敬しており、彼から大きな刺激を受けている。彼と闘えたことは、ただただ名誉だった。彼は明らかに地球上で最もタフで恐ろしい男。本当に素晴らしかった」と敬意を示したポールに対し、タイソンは「第1ラウンドで、世界が間違っていたということを証明できたでしょう? 若い選手と8ラウンド闘えることができるなんて、自分だけは信じていた。満足している」と話した。14日の前日計量ではタイソンがポールに平手打ちを放ったが「昨日はかなり、個人的に熱くなった」とタイソンは対戦相手にわびを入れた。 今回は1ラウンドが通常の3分ではなく2分に短縮され、グラブも10オンス(約283・5グラム)より重い14オンス(約396・9グラム)が使用された。ただ、試合はエキシビションではなく、テキサス州アスレチックコミッションから認可を受けたプロボクシングの公式戦として行われることになっており、2005年6月のケビン・マクブライド(アイルランド)戦で6回に棄権してTKO負けした後に引退したタイソンにとっては19年ぶりの公式戦となった。リング登場は20年11月には元4階級制覇王者ロイ・ジョーンズ・ジュニア(米国)とのエキシビションマッチ(引き分け)以来となった。 27歳とタイソンより31歳も若いポールは、ユーチューブチャンネルの登録者数が約2080万人のインフルエンサー。2020年1月にプロボクサーとしてデビューしている。身長178センチ、リーチ180センチのタイソンに対し、ポールは身長185センチ、リーチ193センチと優位に立っていた。数字に加え、健康面でもタイソン不利の声もあった。当初、この試合は7月20日に予定されていたが、タイソンが5月に潰瘍を再発。延期となっていた。タイソンがドキュメンタリーで明かしたところによると、移動の飛行機内のトイレで血を吐いて気づいたら倒れていたという。医師からは「2・5インチ(約6・4センチ)の潰瘍がある」と言われたが、それでも試合に備えて練習を重ねてきた。 戦績は58歳のタイソンが50勝(44KO)7敗2無効試合、27歳のポールが11勝(7KO)1敗。 ◇ルール 1ラウンドは通常の3分から2分に短縮されて行われた。グラブも通常の10オンス(約283・5グラム)より大きい14オンス(約396・9グラム)が使用された。ただ、試合はエキシビションではなく、米テキサス州のライセンス規制局から認可を受けたプロボクシングの公式戦として行われ、結果は両者のプロ戦績に反映されるという。
報知新聞社