職場を「安全基地」にするため不可欠な3ポイント リモートワークでも心理的安全性を高めるには
リモートワークなどで働き方が多様になった一方、「メンバーの顔と名前が一致しない」「ちょっとしたことを質問したい時に遠慮をしてしまって聞けない」といった不安の声が聞かれるようになりました。 このような状況下で、チームの心理的安全性をどのように育んでいけばよいのでしょう。 広江朋紀氏の著書『マネジメントに役立つ心理的安全性がよくわかる本』から一部を抜粋、再編集し、心理的に安全なカルチャー(組織風土)を育む重要性や、そのための仕組みづくりについて考えます。 【画像で見る】部下が自分の悩みや困っていることを率直に打ち明けられる上司は、この図にあるAさん、Bさんのどちらだと思いますか?
■損なわれるチームメンバーの心理的安全性 上司と部下との信頼関係が強固で、上司自身の心理的安全性が確保されていたとしても、チーム全体の心理的安全性が高いとは限りません。 なぜなら「チーム」は単なる個人の集合ではなく、有機的なつながりを持つ集団だからです。 職場でよく聞かれる悩みの声を、下図に示します。 いかがでしょうか。この図を見ると、上司とだけでなく、先輩や同僚など他のメンバーとの関わりが断絶していたり距離感があったりすると、職場に対して不安・不満を覚えやすいことが分かります。
チーム全体を心理的に安全な場にするには、職場を安全基地(セキュアベース)にする必要があります。 安全基地は、イギリスの精神科医、ジョン・ボウルビィの愛着理論をもとにアメリカの心理学者、メアリー・エインズワースが提唱した考え方です。 愛着理論とは、「全ての人は、生まれながら親密さと安心を得ようとする欲求を持ち、自分を守ってくれると感じられる人から、それを得ようとする」という理論です。 安全基地のイメージを持っていただくために、例を挙げましょう。
我が家には4歳の末娘がいますが、公園に行くと様々な遊具を使ってひとりで遊びます。 ただし、ひとりで遊ぶのは、親の気配を感じることができる距離でのみ。親の姿が見えなくなると、不安でキョロキョロし始めます。 親の存在が、ある種の安全基地となり、何かあったら戻れる安全基地がすぐそばにあることで、恐れを感じずに遊ぶことができるのです。そして、新たな遊具を使って遊ぶことにチャレンジすることで健全な発達が促されていきます。