MLBアナリストがデータで見た大谷翔平の進化 「30センチ」「全球種で長打」
MVP「いろいろな議論がされているが…」
―これまで長い歴史の中で、指名打者が最優秀選手(MVP)に輝いたことはない。大谷が新たな扉を開くのかという議論が起きているが、どう考えるか。 100%のチャンスがある。いろいろな議論がされているが、最終的には大谷がMVPになるだろう。50-50を達成して確定させたと言ってもいいくらい。自分は大谷のデータを見るのが好きだから、偏った意見なのかもしれない。でも彼は史上最高級の成績を残したわけだから、選ばれるだろう。 ―米メディア、特にニューヨークではメッツのリーダーで、攻守でチームをけん引したフランシスコ・リンドーを押す声が多かった。メッツの快進撃も理由にあると思うが、2人を比較してどうだろうか。 確かにリンドーは素晴らしい打者で最も堅実な遊撃手でもある。それを言うなら、ドジャースのムーキー・ベッツも素晴らしい選手。ナ・リーグには多くの突出した好選手がいるのは確かだね。でも、このリーグには大谷翔平がいる。50-50を達成したことは強烈なインパクトがある。 ―大谷は7月以降で28本塁打、リンドーは年間で33本塁打。成績だけ見ると大谷の圧勝だが、それでも(特にメッツが好調だった後半戦に)比べられてしまうのは指名打者(DH)への低評価を物語っているのでは。どれだけ勝利に貢献したかの指標とされる「WAR」で、野球データサイト「ファングラフス」によると大谷はナ・リーグトップの9.1で、リンドーは7.8だった。 確かに、指名打者はWARでは低評価を受けてきた。それは間違いない。なぜなら、守備でのポイントが大きく影響するからだ。リンドーは遊撃を守っているだけでもWARでポイントを稼げる。ただ、大谷はDHでもMVPに十分に値する数字を残した。打撃と走塁で素晴らしい成績を残した。パワーとスピードを史上最高レベルで兼ね備えたシーズンだった。20年後に2024年シーズンを振り返った時、おそらく多くの人が大谷の50-50(のシーズン)と答えるはずだ。リンドーがそこそこいい成績を残したことは、申し訳ないが覚えている人は少ないと思うよ。