西武再建のカギは編成と大型トレード! 伊原春樹が挙げる次期監督候補と新GMに適任な人材とは?
── チームを再建するには、大補強が必要ですね。 伊原 先発投手は新人の武内が期待どおりの働きをするなど、実際に頭数は揃っていました。たとえば、先発と他球団の主力打者をトレードするなど、抜本的な改革をしないといけないと思います。一軍と二軍を行ったり来たりの"エレベーター選手"を交換しても、大勢に影響はないのです ── 1993年オフに、西武の秋山幸二さん、渡辺智男さん、内山智之さんと、ダイエー(現・ソフトバンク)の佐々木誠さん、村田勝喜さん、橋本武広さんの大型トレードを断行しています。 伊原 西武はその94年に佐々木、村田、橋本らが活躍して優勝を遂げています。その後も佐々木は中心打者、橋本は中継ぎ投手、西武の貴重な戦力として活躍を続け、チームの活性化が図られました。 【次期監督に適任なのは?】 ── 一方で、注目の次期監督候補には、辻発彦氏、伊東勤氏、秋山幸二氏、工藤公康氏、平石洋介氏らの監督経験者に、西口文也氏の内部昇格の声が挙がっています。 伊原 いろいろ名前は出ていますが、西武の新監督には西口が適任ではないでしょうか。選手としての実績も十分で、現役引退後は2017年から二軍投手コーチ、一軍投手コーチ、二軍監督を歴任しています。現在の一軍でプレーしている選手の多くは西口が育成した選手ですし、チーム状況も把握しています。 ── では、GMはどのような人が適任でしょうか。 伊原 監督は与えられた戦力で現場の陣頭指揮を執る人。GMが戦うための戦力を整える編成部の"心臓部"を担う人です。この両輪がうまく機能してこそ、チームというのは強くなるわけです。だから並の手腕や、まったくの外部の人ではなく、マネジメント経験のある西武OBが務めるのがベストだと思います。
── 具体的に誰が相応しいと思いますか。 伊原 西武黄金時代をチームリーダーとして経験した石毛宏典が、一番適任だと思います。統率力も決断力も持ち合わせています。かつて西武監督就任を打診されましたが、現役に固執してダイエーに移籍しました。その後、オリックス監督を務めたあとは、独立リーグ・四国アイランドリーグの創設に尽力しました。彼が現状の西武戦力を鑑み、打力を中心に補強を推進していけばいいと思います。 ── 「灯台下暗し」的なところでしたが、たしかに適任かもしれません。 伊原 監督人事はもちろん大事ですが、それ以前にGMですよ。彼なら、本社や球団首脳にも正論を言えると思います。西武の現状を打開するには、そのぐらいでなくてはいけないと思います。いずれにせよ、黄金時代を復活させてもらいたいものです。 伊原春樹(いはら・はるき)/1949年1月18日、広島県生まれ。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年にドラフト2位で西鉄に入団。76年巨人に移籍し、78年ライオンズに復帰。80年限りで現役引退。81年から99年まで西武で守備走塁コーチなどを務め、黄金期のチームを支えた。2000年に阪神コーチ、01年に西武コーチを経て、02年西武監督就任、1年目でリーグ優勝を果たす。04年にオリックス監督、07年から10年まで巨人ヘッドコーチを務め、 14年に西武の監督に2度目の就任を果たした。現在は解説者として活躍中
水道博●文 text by Suido Hiroshi