今も昔も、キャッチャーはチームに安心感を与える存在。もちろん“打つ”ことも必要だ【張本勲の喝!!】
群を抜いていた野村さんと森さんのリード
V9を支えた森さんのリードは野村さんに匹敵するものがあった
かつてキャッチャーといえば、ホームへ体当たりしてくるランナーに負けないようなずんぐりむっくりした体形の人が多かった。かく言う私も、ランナーのときにアウトのタイミングだと分かっていながら野村克也さん(南海ほか)に体当たりで突っ込み、2人で転げ回っては「バカタレ!」と怒られたものだ。 今はコリジョンルールでキャッチャーが守られたりもしているが、昔の野球はそうしたケンカ、格闘技のようなところも多分にあった。選手をケガから守るためのルールを頭から否定するつもりはないが、ケンカ、格闘技の要素があったからこそ、今の選手たち以上に「相手に負けたくない」という闘争心が湧き上がり、熱いライバル関係が生まれていたのだ。他球団の、ましてやピッチャーとバッターが仲良くなれ合っている今の選手たちの姿を見ると、情けなくなることがある。 歴代のキャッチャーの中では、やはり野村さんが別格だ。8年連続を含む9度のホームラン王、三冠王に輝いた1965年をはじめ打率3割を何度も記録している大打者だが、何より名キャッチャーだった。特に二流ピッチャーの力を存分に引き出してバッターを翻ろうするリードには、目を見張るものがあった。 ピッチャーに球種のサインを出すだけがキャッチャーのリードではない。野村さんは決して・・・
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週刊ベースボール