「息子が身に覚えのない借金返済の催促をされた…」どうするべきか? 無視すべきケースと対処すべきケースについて、弁護士が解説
さまざまな詐欺の手口がはびこっている今の時代。不安を煽って架空請求をするような迷惑メールも少なくない。では、もしも消費者金融から身に覚えのない借金返済の催促がきた場合、どのように対処すればいいのだろうか。あるいは、無視しても大丈夫なのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】 消費者金融から息子宛てに返済の催促がきましたが、息子はお金を借りていません。インターネット上で手続きができる金融会社だったので、どうやら誰かが息子になりすまして100万円を借りたようなのです。 このような場合、返済の請求を無視していたら問題になりますか。対処法を教えてください。(奈良県・62才女性・パート) 【回答】 消費者金融は、貸金業者のひとつで、正規の業者であれば財務局または都道府県に登録をしています。登録の有無はインターネットで検索できます。 正規の消費者金融が取引を開始するときには、契約相手が本人であることを運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付きの公的証明書で確認するのが普通ですから、簡単に他人がなりすますことはできません。 とはいえ、知らない間にこうした本人確認手段を他人に利用される可能性がまったくないとはいえません。例えば、正規のカードローン契約を結んだ後、カードの情報を第三者に使われてしまうと、身に覚えのない借金が請求される可能性もあります。 請求が正規の金融機関からきた場合、息子さんに心当たりがないとしても、借金した事実を否定する旨を通知して、まずはその時点以上の被害の拡大を防ぐことが第一です。そして、その消費者金融に対して貸し付けを裏付ける契約書や本人確認書類の開示を求めてください。
消費者金融業者がずさんで、本人確認を充分しないまま本人になりすました人物に貸し付けた場合や偽造文書が使われていた場合など、息子さんの関与が否定できれば、借金の責任を拒否できます。 しかし、別の目的で貸した本人確認書類が利用されていれば、名義を使わせた者として、借入人本人としての責任や名義貸しの責任の追及を金融業者から受ける可能性もあります。また、本人確認書類の悪用に協力した不法行為責任を問われることも考えられますので、弁護士などに相談して、貸金請求への対応策を講じる必要があります。 まったく思い当たることがないケースでは、消費者金融を騙り、根拠のない貸金があるように装って請求し、「裁判を起こすぞ」などと脅かす架空請求である場合もあります。そのような詐欺的な請求であれば、今後一切連絡をとらず、相手にしないことです。これ以上、先方から申し出等があれば、直ちに警察へ相談してください。 そこで、まずはその消費者金融が正規の貸金業者かどうかを調べてください。その結果に応じて対応を検討するとよいでしょう。 【プロフィール】 竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。 ※女性セブン2024年11月21日号