売り手市場に企業はどう対応する?オファー殺到の「超優秀人材」を獲得するためのテクニック【人材紹介のプロが解説】
圧倒的な人手不足から、企業側よりも求職者の方が立場が強くなってきたといえるのが現在の転職市場です。こうした売り手市場の中、オファーする企業側はどのような視点・距離をもって求職者と向き合えば良い結果をつかむことができるのでしょうか。本記事では、東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、企業側が求職者に上手にオファーするにポイントについて解説します。 【ランキング】都道府県「大学(学部)進学率」…3位「神奈川」2位「京都」1位は?
求職者が有利な転職市場…企業はこの事態をどう乗り越える?
転職市場は大変な状況になってきました。企業と個人は利害関係が反対になりやすいので、「求職者が有利」ということは、逆から見ると「企業側が不利」という状況になります。 誰もが憧れる超ブランド企業の採用であれば、横綱相撲を取れる場合もあるかもしれません。しかし、そういう会社でさえ新興のスタートアップ企業に脅かされることもありますし、油断できない状況になってきています。そもそも、そのようなブランド企業はごく一握りですし、大半の企業は今後も難しい状況が続くものと思われます。 では、企業はこの事態をどう乗り越えていけばよいのでしょうか。労働市場に劇的かつ抜本的な変化がない限り、環境が自動的に良くなったり変化したりすることはありません。そのなかで対処療法を取らざるを得ないことになります。 ひとつあるとすれば、これまで求職者の方にアドバイスしたこととまったく逆のことをしなさいということになります。すなわち「先頭グループや最後方で選考しない」「求職者のペースに巻き込まれない」ということ。これが今後の転職市場で有効なテクニックになってくると思います。 具体的にご紹介しましょう。ある企業がAさんという大変優秀な候補者を採用面接で選考のテーブルに上げているとします。その案件を紹介してくれたエージェントからのコメントによれば、Aさんは客観的に見ても非常に優秀で、将来性があり、多くの企業から「ぜひうちに」という申し出が殺到していて、次々と際限なく企業の手が挙がるという状態でした。 しかし、体はひとつしかありません。最終的にAさんを獲得できるのは言うまでもなく1社のみです。それ以外は全部のプロセスが無駄に終わるわけです。しかもAさんの本音、本心はいまだわかりません。選考には誠実な態度で臨んでくれますが、本当のところは定かではないということです。