「演じるうえで年齢や性別は意識していないかも」――朝ドラ“空さん”役で話題の40歳ボーダーレス俳優・新名基浩の動力は
「自分も空さんに似て、すごく不器用というか、対人関係もそうだし、頭でっかちになっちゃうことが多いですし、リアクションしたいんだけど、うまく返せないことってすごくあるから。でも、空さんの場合はちょっと『さすがにそこは(言葉を)返そうよ』みたいなところはありましたけど(笑)」
メンバーたちと過ごした時間はすごく大きかった
彼自身が好きなシーンを挙げてもらうと、空さんらしいチョイスが返ってきた。 「たこ焼き会で鶴田さん(足立英)をきっかけに刈谷さん(高杉真宙)が奇跡について語るシーンです。僕は全然しゃべらずにみんなの芝居を見ているんですが、そこでみんな、一人一人セリフっていうか思いを発していく。何げないシーンではあるけど、そこがすごく、これまでの撮影の雰囲気とか気持ちが乗っかってきて、みんないい顔してるなと思いました」
ドラマで舞は大学を中退し、航空学校に入学。無事パイロット試験に合格し、今は東大阪を舞台に奮闘中だが、空さんはあの後どうなったのか。空さんと同じ宮崎出身の新名も思いを馳せる。 「地元で就職したんじゃないかな。相当、学費でも迷惑をかけてるだろうし(笑)。今思えば、もし自分が志半ばで宮崎に帰ることがあったら、みたいなことはちょっと想像しながら現場にいた気がします。そんなに大きく出そうとしたつもりはないですけど、『いつか終わる』っていう雰囲気は常に考えていました。ただ、やっぱりあのメンバーと過ごした濃い時間っていうのは、放送がどうというより、すごく大きかった感じがします」
勝ち負けではなく、人が打ち込む姿はやっぱり美しい
彼自身の青春時代はどうだったのだろう。俳優としての原点は高校時代にさかのぼる。 「地元の中高一貫の私立校に入ったけど、中学で挫折して県立高校に入り直したんです。そこから勉強一直線で難関大学に通って就職して高収入、みたいなことを考えていましたが、高1の秋にふと『高校時代に何かやっておきたい』という気持ちが湧いて。そこにちょうど、1年生部員が一人もいない演劇部があったんです。でも、そのときもすごい演劇がやりたいというわけじゃなくて、部員の先輩が引退したら勉強部屋にできるかな、くらいの本当にどうってことない理由でした」