不公平を回避?!田口世界戦で異例のジャッジ構成変更のドタバタ劇
まずIBFにジャッジを中立国で構成しなければならないとの決まりはない。これまでも日本人ジャッジが、日本人ボクサーが出場する世界戦に加わることはあった。そして世界戦のジャッジ構成は、プロモーター或いはマッチメーカー(この場合はワタナベジム)が、WBA、IBFサイドからのリスト提出を受けて調整、決定することになっている。基本、本部の指令に従うものだが、ジャッジ構成に問題がある場合は、変更をリクエストすることも可能。例えば不公平なジャッジ構成は、もとより、ジャッジが遠方の国で構成されているような場合でも「移動経費のかからないアジアのジャッジを入れて欲しい」などの差し替えを要求することもできる。 だが、今回はダブル世界戦で田口の試合は2団体の統一戦という特殊な事情があったため、WBA側から、なかなかジャッジ構成に関するリストが提出されず、最終的にIBFに一任するということになり正式に決まったのが2日前。プロモーターであるワタナベジム側もドタバタの中でジャッジの構成を確認して変更を依頼する時間的余裕がなかったという。挑戦者の母国の人間がジャッジに加わってしまうことを見逃してしまうというやむを得ない事情もあったようだが、直前になってJBCに八つ当たりするのは、お門違いなのである。 その点を「航空券の手配の時点で南アフリカから来ることは分かっていたのでは?」と渡辺会長に問うと「知らなかったのはこっちのミス」と怒りを収めていたのだが……結局、日本人ジャッジである中村勝彦氏をアルフレド・ポランコ氏(メキシコ)と交替させて、アメリカ人、日本人、南アフリカ人というバランスの取れたジャッジ構成となった。田口は、「日本人を一人加える? それも嫌ですね。できれば3人を中立国にしてもらいたい」と、そうなることを嫌ってはいたが、何はともあれ、試合前に最悪の事態を回避できたことは朗報である。 「厳しい試合になると思うが勝つのは自分だと信じている。正々堂々と激しい打ち合いをしたい。盛り上がる試合で勝ちます」と田口は言う。 統一タイトルを防衛すると日本ボクシング史上初の快挙となる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)