西ノ内紙で卒業証書 常陸大宮・山方小 6年生が紙すき 茨城
茨城県常陸大宮市を代表する伝統工芸品で、県無形文化財の高級和紙「西ノ内紙(にしのうちがみ)」を使った卒業証書作りが13日、同市舟生の和紙製造販売店「紙のさと」で行われた。 この日訪れたのは、市立山方小(菊池恵子校長)の6年生13人。まず、地元の山方地区で収穫されたコウゾから取った表皮を、舟と呼ばれる大きな容器の中で水に溶かし、トロロアオイを混ぜて原料にする作業の見学を行った。そして、同店3代目の菊池大輔さん(48)から「丈夫で長持ちすることから、江戸時代には商人の大福帳などに使われ、水戸藩の特産物として扱われた」と歴史を学んだ後、児童たちは手ほどきを受けながら紙すきに挑戦した。 木枠の簾桁(すげた)に原料を数回すくい、縦横に傾けながら均等になるよう動かした。3月の卒業式に授与される自分の証書だけに、子どもたちは真剣そのもので、すいた紙と紙の間には校章を挟み、出来上がりを楽しみにした。 大森優人(ゆうと)さん(12)は「コウゾから和紙の原料になるまでの過程がいくつもあり、すごい。卒業証書は思い出深い」と話した。菊池真衣さん(同)は「木枠が重かったけど楽しかった。和紙の里に生まれて良かった」と喜んだ。 同市の小中学校では毎年、同所と同市山方の和紙製造業「五介和紙」と市内2カ所で作られた西ノ内紙による卒業証書が卒業生に贈られる。
茨城新聞社