帝京大可児の控えGKが好守連発で前橋育英を追い詰める 敵将も賛辞「1人少なくなって、やっと互角になった」【高校サッカー】
◇2日 サッカー 第103回全国高校選手権3回戦 帝京大可児(岐阜)2―3前橋育英(群馬)=駒沢 6大会連続出場の帝京大可児が、2017年度大会優勝の前橋育英に2―3で敗れた。0―2から前半のうちに追いついたが、後半に決勝点を許した。帝京大可児は11度目の出場で初のベスト8進出を目指したが、かなわなかった。 2―2の前半33分、ペナルティーエリア外に飛び出し、前橋育英の選手を倒して得点機を阻止したとして帝京大可児のGK水野稜(2年)が一発退場となり、急きょ巡って来た出番。いきなりの大舞台に足がすくんでもおかしくないが、代わりにピッチに入ったGK緒方琉太(3年)には笑顔が浮かんでいた。 「春先から出場機会があまりなかった中で出られて、楽しむということだけを考えた」。控えに甘んじてきた鬱憤(うっぷん)を晴らすように、自身初の全国選手権の舞台で躍動した。至近距離からの相手のシュートを横っ跳びで防ぐなど、前半をしのぎ最後方からチームを鼓舞した。 2―2のハーフタイム。退場の責任から泣きじゃくる後輩GKに「俺がやってやる」と声を掛けた。相手より1人少ない状況で守勢に回った後半も、強烈なヘッドをはじき返すなど存在感を誇示。攻められながらも得点を許さない展開で、会場に逆転ムードが漂い始めた後半36分だった。 エリア内にボールを入れられ、絶妙なターンから前橋育英のMF中村太一(3年)に右足で決められた。DFがマークしていたが反転からシュートに持ち込まれ、GK緒方も「あれは相手がうまかった」とうなった。 チームは敗れたが、確かな爪痕は残した。前半8分までに2失点しながら、前半のうちにMF明石望来(3年)と、2試合連続となる主将のエースFW加藤隆成(同)のゴールで追いついた。80分のうち50分間近くを1人少ない状況で戦ったが、丁寧にボールをつないで攻めるパスサッカーを貫き、FW加藤隆も迫力あるドリブルなどで相手の脅威になり続けた。 敵将の賛辞が強豪を追い詰めた何よりの証拠だ。全国選手権優勝の味を知る前橋育英の山田耕介監督(65)は試合後、開口一番に言った。 「帝京大可児は上手で大変苦労した。1人少なくなって、やっと互角になったかな」
中日スポーツ