交通事故の「星座別」まとめに賛否両論 愛知県警の狙いは?
愛知県警が、交通死亡事故の特徴を「星座別」にまとめて話題になっています。 おひつじ座は「追突事故が多発。脇見や携帯電話の使用はやめ、前をよく見て運転しましょう」、おうし座は「速度の出し過ぎによる事故が最多。スピードを控えて思いやりを持った安全運転で!」などと、かわいらしいイラストを添えて呼び掛け。これに対し「親しみやすい」「交通事故を考えるきっかけになる」と評価される一方、「他にやるべきことがあるのでは」と冷ややかな声も。賛否両論の「警察版星占い」の狙いは何なのか、県警の担当者に聞きました。
●ワーストワン返上への秘策
「今までいろんなキャンペーンをやってきたが、なかなか全国ワーストの汚名が返上できない。何とかしなければと考えだしたアイデアの一つ」 そう言うのは、今回の企画を考えた愛知県警本部交通総務課交通事故対策室の飯田悟室長です。 愛知県は昨年の交通事故死者数が204人で、12年連続の全国ワーストワン。今年に入ってからもすでに141人(18日現在)の死者が出ていて、134人の大阪府を上回り全国最悪のペースが続いています。 その背景には、自動車の保有台数が日本一の「クルマ王国」であることに加え、「名古屋走り」と呼ばれる乱暴な運転マナー、飲酒運転に対する意識の甘さなど、さまざまな要因が指摘されています。いずれにしても県警としてあらゆる手は打たなければなりません。そこで飯田室長が参考にしたのが、「10年ほど前に北海道でやっていた」という星座の活用だったのです。 筆者も調べてみると、確かに北海道警が2003年に交通死亡事故の当事者を星座別に分けたリストを公表していました。さらに、過去には兵庫県警や愛媛県警、石川県警なども同じような星座別リストやランキングをつくっています。発想自体は新しいものではなかったのです。
●賛否両論も「話題づくりは成功」
ただし、愛知県警管内は事故件数が多いだけに、豊富なデータを深く分析できるかもしれません。 そう思い立った飯田室長は、統計担当の係長の協力を取り付け、今年4月ごろから通常勤務の合間をぬって膨大なデータを整理し始めました。本部管内で起こった過去10年間の交通死亡事故の加害者や被害者の生年月日を、星座別に分類し始めたのです。 すると「交通事故で亡くなる人はみずがめ座が最多」「第一当事者になるのはうお座」「飲酒運転や信号無視が最も多いのはしし座」などの特徴がはっきりと見えてきました。それぞれの事故が発生する月や曜日、時間帯までも徹底的に調査。約2か月をかけて、12星座それぞれの特徴をまとめました。 同時にオリジナルのイラストを、警察関係者の親類にいたプロの漫画家に依頼することもできました。そして9月3日、満を持して「星座から見た交通死亡事故の特徴」と銘打ったウェブページを県警の公式サイト内に開設。さっそくインターネットや新聞、テレビでも取り上げられ、反響はあっという間に広がります。ネットだけでなく、運転免許試験場などでは独自に印刷、掲示するところも出てきました。