巨人・吉川 CS無念の欠場も1軍に同行 胸に秘めていた思いとは…
巨人の4年ぶりのリーグ優勝の立役者は、故障の影響でCSに出場できず、無念の終戦を迎えた。左脇腹の「左第四肋骨肋軟骨移行部損傷」から復帰を目指して懸命に治療し、DeNAとのファイナルステージ第4戦からはベンチ入りも果たした吉川は「応援しかできないけど(勝ちたい思いは)、みなさんと一緒の気持ち」と大きな声を出し、チームとともに戦っていた。 登録外となった第1戦から近くで試合を見守っていた。試合前練習に参加後は、試合を待たずに帰宅することも可能だったが、それを選択せず。時には一塁ベンチ横の扉に設置されてある小窓からグラウンドを見つめることもあった。今季は自身初の全試合出場でリーグ優勝に貢献。これまで、故障で離脱することも少なくなかったが、故障時は故障班で調整をするため、ベンチ外から至近距離で試合を見ることは初の経験だった。「改めてあの場で戦っていることの凄さを感じる。(CSの)雰囲気も凄い」。戦いの場へ戻ることへの思いを強めていた。 もどかしさも当然あった。初戦は0―2で零敗。自身が9月以降に定着した3番にはオコエが入ったが4打数無安打に終わり、メディアには「代役不発」や吉川不在の影響に言及する文字が躍った。翌日の試合前練習。吉川は言った。 「誰も代役なんかじゃない。オコエに“吉川の分まで”と言うのも違うと思う。そんなことは考えないでいいし、ケガして試合に出られない俺が一番ダメなだけ」 目の前の試合だけに集中してほしいという後輩への思いと、強い責任感を感じさせる言葉。昨季までの離脱のあったシーズンから、今季、ついに全試合出場を果たし、試合に出ることの“重み”が分かってるからこそ、背負わせたくなかった。 今季最終戦となってしまった21日のファイナルS第6戦の試合前練習ではグラウンドでの打撃練習を再開した。リード時の守備固めでの出場も検討されていた背番号2。日本シリーズ進出時のスタメン復帰は目前だった。 球界屈指の二塁守備だけでなく、チームトップの打率・287をマーク。攻守ともにチームをけん引し、野手のMVPと言える活躍を見せるも、最後に悔しさも残ったシーズンになった。来季こそ、日本一奪還へ。リーグVに不可欠だった男は、この経験も必ず糧にしてくれるはずだ。(記者コラム・小野寺 大)