国内景気は「足踏み状態」 ~ 年末需要がプラス要因も、燃料価格の上昇が下押し ~
TDB景気動向調査(全国)― 2024年12月調査 ―
帝国データバンクが2024年12月の国内景気に関する調査を実施したところ、景気DIは前月比0.1ポイント増の44.5となり、小幅ながら2カ月連続で改善した。 12月は、気温の低下とともに重衣料など冬物商材が好調となったほか、インバウンド需要は好調を維持した。また、建物売買など不動産販売が好調だった。 一方で、12月19日からガソリン補助金が段階的に縮小されたことによる燃料価格の上昇は、幅広い業種でコストアップにつながり地域経済を下押しする要因となった。さらに、人手不足の継続や原材料価格の高止まりも悪材料だった。
改善と悪化がそれぞれ5業界、景況感は業界間で二分した
10業界のうち改善、悪化がそれぞれ5業界だった。年末のイベント需要や、季節商材の回復などが好材料となった。一方で、低調な個人消費や原材料価格の高止まり、慢性的な人手不足による機会損失などは悪材料だった。 なかでも、『小売』は4カ月ぶりに改善。冬物衣料や季節商品を中心に気温の低下により回復傾向がみられ「繊維・繊維製品・服飾品小売」の景気DIは7カ月ぶりに40台となった。「家電・情報機器小売」もボーナス商戦などが奏功し5カ月ぶりに上向いた。 一方で、『製造』は7カ月ぶりに悪化。電気自動車向け製品が下方修正といった声のある「化学品製造」や、建設機械市場などの需要低迷を受ける「機械製造」はともに2カ月連続で悪化した。原材料の値上がり、消費の停滞感から「飲食料品・飼料製造」も落ち込んだ。
10地域中7地域が悪化、資材やガソリン価格の上昇が悪材料に
全国を10の地域に分けてみると、『北関東』『四国』など10地域中7地域が悪化、改善は『近畿』など3地域にとどまった。インバウンド需要が地域経済の追い風だった一方で、資材価格やガソリン価格の上昇によるコストアップは下押し要因となった。 なかでも、『北関東』(41.9)は6カ月ぶりに悪化した。農業資材の価格上昇が悪材料となった『農・林・水産』は3カ月連続で悪化。特に「中小企業」の悪化が全体を下押しした。 国内景気は、年末需要がプラス要因となったが、燃料価格の上昇が下押しするなどわずかな改善にとどまり、足踏み状態で推移した。