深刻な“子どもの体験格差”の解決に尽力!「こども冒険バンク」とは?
2024年8月1日、認定NPO法人フローレンスが「こども冒険バンク」を立ち上げた。「こども冒険バンク」とは、経済的な理由や家庭環境により“体験”の機会が限られている家庭が、企業などが無料で提供する“体験”を自由に選び、申し込みができるプラットフォーム事業だ。 【写真】「フォレストアドベンチャー・よこはま」で体験する子どもたち 認定NPO法人フローレンスは、恒常的により多くの家庭に体験機会を届けるため、企業や団体からの体験提供を継続的に受け付けている。今回は、「こども冒険バンク」の目的や、実際に体験が行われた様子を紹介する。 ■「体験格差」の現状と体験の重要性 昨今、家庭の経済状況により、子どもの学校外の活動やさまざまな体験を得る機会が限られるという「体験格差」が問題になっている。 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが行った「子どもの『体験格差』実態調査最終報告書(2023)」によると、世帯年収が300万円未満の家庭の子どものうち、3人に1人が「学校外の体験をしたことがない」という実態が明らかになった。このような体験格差が、子どもたちの将来の夢や目標に影響を与えるのではないかと懸念されている。 一方で、文部科学省が行った「令和2年度『体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト』調査」によれば、幼少期の体験が多い子どもは、「自尊感情」や「外向性」、「肯定的な未来志向」などの多くの項目で良い影響が見られるという。 「こども冒険バンク」の主な目的は、体験の機会が不足している子どもたちに新たな価値観や可能性を見出すきっかけを提供すること。認定NPO法人フローレンスは、2017年から経済的に困難な家庭を支援しており、その活動を通じて“体験不足”という課題を目の当たりにした。2023年には「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を実施し、想定の3倍の応募が寄せられたことで、体験の機会を求めるニーズの高さが判明。このような背景から、「こども冒険バンク」を通じて継続的に体験を提供する仕組みが作られた。 ■「フォレストアドベンチャー・よこはま」で体験! 「こども冒険バンク」では多彩な体験プログラムが提供されているが、その中の一つである「フォレストアドベンチャー・よこはま」での体験が2024年10月26日に開催された。 「フォレストアドベンチャー」は、自然の中で大人から子どもまで一緒に楽しめる“自然共生型アウトドアパーク”。樹木の上に登ったり、森の地形を利用したジップスライドで遊んだりと、アクティビティを楽しむことができる。最初は恐怖心を抱く子どもも多かったようだが、家族や仲間の応援や自身の挑戦心によって少しずつ前進していく姿が見られたそうだ。 このような体験は単なる遊びではなく、困難に立ち向かう力や他者と協力する大切さや、「できた!」という成功経験が得られるため、子どもにとっての成長にも繋がるのではないだろうか。 「こども冒険バンク」では、今後もさまざまな体験プログラムを予定。サービス開始時には約1700枠の体験が用意され、毎月新しいプログラムが続々と追加されている。「こども冒険バンク」は、体験格差のある子どもたちに多種多様な体験を提供することで、“あきらめ”による貧困の連鎖を断ち切る一つの解決策になると考えている。 参加には、「こども冒険バンク」のLINE公式アカウントからの登録が必要。1会員につき大人2名、子ども4名の最大6名まで登録でき、登録人数に応じて月初に体験枠に応募するための「冒険チケット」が付与される。新着情報などはLINE公式アカウントからのプッシュ通知で受け取ることが可能。今後もあらゆるジャンルの体験が予定されているため、興味のあるものはチェックしておこう。