「日本のカレーのルーツは“フランス”だった!?」 食のプロが語る“意外過ぎるカレーの歴史”
各国からレベルの高いガチ系料理が直で入ってくる
このように、日本にカレーが入ってきた経緯はいろいろありますが、最近になってまたひとつの流れがあります。いろいろな国を経由せずに、インドから直接入ってきた、いわゆる“ガチ系”です。僕がやっているエリックサウスもこれに入りますね。もっと早い初期のガチ系が、新宿の中村屋や銀座のナイルレストランです。かつて東京のごくごく一部では、そういう奇跡のようなことが起こっていたのです。 そのような歴史を経て、今は南インド料理、ネパール料理、スリランカ料理、パキスタン料理などの“ガチ系料理(カレー)”が、どこでも食べられるようになりました。しかも「外したらどうしよう」という心配が無用なほど、どこもおいしい。安心して訪れることができます。 ただし、これらの料理にはひとつ特徴があって、すべてのものが日本に入ってきたわけではないのです。インドには“カレーらしくないカレー”もたくさん存在します。そんな無限にあるインドカレーの中でごく一部、チキンカレー、マトンカレー、バターチキンカレーのように、日本人にとっての“カレーらしいカレー”だけがやってきているのです。
【Profile】稲田俊輔/いなだしゅんすけ
料理人、飲食店プロデューサー。南インド料理店「エリックサウス」総料理長。鹿児島県生まれ、京都大学卒。和食、フレンチ、洋食、インド料理などさまざまなジャンルのメニュー監修や店舗プロデュースを手掛ける。著書に『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』(柴田書店)『チキンカレーultimate21+の攻略法』(講談社)ほか。新刊『個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド』(西東社)『ミニマル料理』(柴田書店)は2023年度レシピ大賞を受賞。
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