JR九州の新観光列車「かんぱち・いちろく」これまでと何が違う? 座席や窓など随所に「脱・水戸岡デザイン」
単なる数字の羅列にすぎない車両の形式名に遊び心が隠されていた。「かんぱち・いちろく」の1号車には2R-16、2号車には2R-80、3号車には2R-38という形式名が付けられている。2Rとは「2人のロマンスカー」、16は衛藤一六、80は杉のテーブルの長さが約8mあること、38は麻生観八が八鹿酒造の3代目だったことにちなんだという。 JR九州は観光列車を「D&S列車」と呼ぶ。デザイン(Design)とストーリー(Story)だ。車内の各所に展示されているアートはもとより、車両の形式名にすらストーリーがある。「ななつ星」を筆頭に世界的にも人気が高い水戸岡デザインの車両に、「脱・水戸岡」デザインとなる初めての観光列車が加わった。それは、JR九州がさまざまな発想を持ち寄って総力戦で造り上げたD&S列車といえるだろう。
大坂 直樹 :東洋経済 記者