朝ドラ史に残る名作を生んだ吉田恵里香さん

【TV視てますか？】 先週終了したNHK朝ドラ「虎に翼」（作・吉田恵里香）の最終週は、サブタイトルもずばり「虎に翼」だった。いつにも増して話題に事欠かないトラツバ周辺。 シルバーウイーク最終日の9月23日（月）、BSで朝7時15分から朝ドラ「カーネーション」（作・渡辺あや）の再放送がスタート。その第1話の冒頭、ヒロインの子役が「♪時は大正　岸和田に　生まれた一人の女の子」と歌い出すと、「♪名前を小原糸子と申します。」と主演の尾野真千子が続け、2人そろってカメラ目線でデュエットした。「朝ドラ史上最高傑作」と言われた本作はこんな始まり方だったんだなと、最初に放送された東日本大震災からほぼ半年後の頃も思い出され、胸が熱くなった。 糸子を屈託なく演じた尾野は、「虎に翼」ではナレーターを務め、糸子っぽいともいえる表現力をふんだんに見せた（聞かせた、あるいは効かせた）。「虎に翼」を再び朝ドラ史上の高みに押し上げた陰の功労者と言っていい。 誰が仕組んだか、「虎に翼」の最終週と「カーネーション」の第1週とのハイタッチだが、現在の主流はグータッチ。25日（水）放送の128回にこんな場面があった。1973年、法制審議会少年法部会の会議で東京家裁少年部部長の佐田寅子委員（伊藤沙莉）が提案する。「不毛なことはいったん止めて、きょうは〝愛〟について語り合いませんか」。それを受け、寅子を後押しする大学時代の同期で丸刈りの裁判官（松川尚瑠輝）が「愛」と言い、対立する委員たちへ拳を向ける。どう見てもグータッチだが、時代的に「はて？」。 同夜の「クローズアップ現代」には＜「虎に翼」が描く〝生きづらさ〟の正体＞をテーマに、吉田が自ら出演。桑子真帆キャスターが重ねる質問に、誠実に言葉を紡いでいた。すでに〝大物〟の雰囲気。彼女の向田邦子賞受賞作「恋せぬふたり」も先週まで、深夜に再放送。 「脚本家・吉田恵里香」が〝クローズアップ〟された週でもあった。　（新橋のネクタイ巻き）