パソコンにはSSDさえあれば「HDD」はもう不要? 新たな選択肢「NAS」のススメ
それでもHDDが便利な場面とは?
SSDに比べて、HDDは読み込み速度は遅いです。一方、HDDはSSDと比べ「安い」という明確な強みがあります。つまり容量単価が安く、大量のデータの保存先・バックアップ先として優れています。 とはいえ、 ・SSDで高速に起動するPCに「安い」という理由だけでHDDをくっつけるのは抵抗感がある ・結局1枚HDDを積んだところで、その1枚が故障したらデータが消失するので意味がない と考える方もいるでしょう。そこでおすすめなのが、HDDでいわば「ローカルネットワーク内の疑似クラウド」が作れる「NAS」です。
大容量データをローカルに保存する「NAS」のススメ
NASは、ネットワークに接続された専用のストレージ機器で、複数のHDDを搭載可能。NASを導入することで、大容量データをローカルに保存しつつ、ネットワーク経由でアクセスできるようになります。 ■同じLAN内の端末なら、NAS内のデータをどこからでも利用可能 NASは同じLAN内の端末から、ネットワーク経由でアクセスできます。そのため、たとえば、リビングのテレビでNASに保存した動画を視聴し、書斎のパソコンで同じNAS内の文書ファイルを編集するといった使い方が可能になります。また、スマートフォンやタブレットからもNASにアクセスできるため、デバイスを問わずにデータを共有・利用することができます。 ■安価なHDD2枚でデータのミラーリングも可能 多くのNASデバイスは、RAID(Redundant Array of Independent Disks)機能を搭載しており、複数のハードディスクを使用してデータを保護することができます。特に、RAID 1と呼ばれるミラーリング方式を使用すると、2台のHDDに同じデータを書き込むことで、一方のHDDが故障しても、もう一方のHDDからデータを復旧可能。これにより、重要なデータを安全に保管することができます。 ■デスクトップパソコンより消費電力が低い NASは、一般的なデスクトップパソコンと比較して、消費電力が少ないという利点があります。多くのNASデバイスは、省電力設計されており、必要最小限の機能だけを稼働させることができます。たとえば、アクセスがない時間帯にはハードディスクの回転を停止させたり、CPUの動作周波数を下げたりすることで、消費電力を抑えることができます。 ■クラウドストレージよりも高速にデータが扱える NASは、クラウドストレージと比較して、データの読み書き速度が圧倒的に速いというメリットがあります。クラウドストレージは、インターネット回線を介してデータのやり取りを行うため、回線速度や混雑状況によってパフォーマンスが左右されますが、NASは同じLAN内に設置されているため高速にデータを扱うことが可能。たとえば、大容量の動画ファイルや高解像度の写真データを編集する際、NASを使用することで、ストレスなくスムーズに作業を進めることができるでしょう。 ■クラウド事業者にデータがBANされるリスクがない クラウドストレージを利用する際の懸念点として、サービス提供者によるアカウントのBAN(利用停止)があります。 たとえば一部のクラウドストレージでは「自分の子どもの水着写真」をアップロードしたところ、アカウントがBANされたという事例も。つまりクラウド事業者は、ストレージにアップロードされた写真・動画などのデータを「監視」しており、その内容によってはアカウントをBANすることもあるということです。 そのため『データの監視を避けたい』『アカウントBANのリスクがない状態でデータを管理したい』という場合は、HDDを利用してNASを構築するのがおすすめです。
オトナライフ