なぜソニーは、世界最強の「CMOSイメージセンサー」を開発できたのか
では、日本のモノづくり企業が本当の意味で改善すべき思考を踏まえたオープンイノベーションとは、いったいどんなものなのか。解明のための糸口となったのは、盟友である株式会社 KRI代表取締役社長の川崎真一氏(本書の共著者)の言葉です。このKRI(ケーアールアイ)という聞き慣れない名前の会社は、研究開発を受託するビジネスを営んでおり、まさに外部に技術を提供することで成り立っているオープンイノベーションの最前線にいます。 川崎氏から、「我々の価値はクライアント企業が自分たちだけでは解決できない課題に直面した時、一緒に解決策を導き出し、道なき道を前進する道先案内人になることだ」と聞き、外部の力を活用することは、異なる考え方から学び、外部の人と“一緒に”解決策を導き出し前進することにあるのだと気付きました。つまり「脱自前主義」だけを説くことが、オープンイノベーションの本質ではないことに気付いたのです。 そこで、筆者自身の知見や経験とともに、長年研究開発と開発成果の事業化に従事してきた川崎氏の知見や経験も交えて、必要以上に「脱自前主義」に走らないよう、日本のモノづくり企業が本当の意味で改善すべき思考は何かを明らかにしたうえで、「これからのオープンイノベーション」を説くべきだと思い至りました。 そもそもオープンイノベーションには、成功させるために必要な3つの基本要素があります。この3つが揃わないとうまくいきません。 1つ目は、「対等な関係」の提携でなくてはならないこと。2つ目は、対等な関係だからこそ、お互いに相手から「学ぶ場」でなくてはならないこと。そして3つ目は、ゴールが「Win-Win の関係」でなくてはならないことです。オープンイノベーションとは、「対等な関係」でスタートし、推進していく中でお互いが学びあい、そしてゴールは両者が勝者になることに価値があるのです。
古庄 宏臣/川崎 真一