観光で広域連携強化 富山、石川両県知事 県東部9首長と意見交換
富山県の新田八朗、石川県の馳浩の両知事は5日、黒部市宇奈月温泉の市芸術創造センターセレネで富山県東部の全9市町村長と懇談し、観光分野で広域連携を強化することを確認した。両知事と各首長が一堂に会した意見交換会の開催は初めて。北陸新幹線敦賀開業や秋の大型観光企画「北陸デスティネーションキャンペーン(DC)」を追い風に、歴史的にも関係の深い両県の自治体間で連動し、誘客を進める。 ●本社が提案し実現 意見交換会は、北國新聞社、富山新聞社の提案で実現した。新田、馳両知事のほか、藤井裕久富山市長、村椿晃魚津市長、武隈義一黒部市長、水野達夫滑川市長、舟橋貴之立山町長、笹島春人入善町長、中川行孝上市町長、笹原靖直朝日町長、渡辺光舟橋村長が出席した。 新田氏は冒頭、富山県が1883(明治16)年に石川県から分離するまで、両県は同じ県だったと強調。能登半島地震を通じて、日頃から互いに顔の見える関係性が必要だと痛感したとし「意見交換会をきっかけに密接な関係になりたい」と意欲を示した。 続いてあいさつした馳氏は、宇奈月温泉は高岡生まれ、金沢育ちの世界的化学者・高峰譲吉博士の黒部川での電源開発構想が基で、1923(大正12)年に誕生したとし「加賀藩の時代から、この地と石川は大変なご縁があることを紹介したい」と力を込めた。 両知事は北陸三県が大阪に合同で整備した情報発信拠点「HOKURIKU+(ホクリクプラス)」の開設をはじめ、富山、石川両県の連携の取り組みを説明した。新田氏はホクリクプラスが7月31日のオープンから5日間で4万8千人を超える来場があったとし、馳氏はあいの風とやま鉄道(富山市)の観光列車「一万三千尺物語」が北陸三県をつなぐ特別運行を秋ごろに実施するとした。 ●歓迎の声上がる 各首長からは、両県の自治体間で広域観光の連携を深めていくことを歓迎する声が上がった。 藤井富山市長は、市と金沢市が連携し、海外富裕層向けの旅行商品を造成する「ガストロノミーツーリズム誘致推進事業」を進めているとし、北陸DCに向け、福井市も交えて3都市で観光PRに努めると説明した。村椿魚津市長は、食が観光の大きなテーマになるとし「富山と石川で特色がある。大きな切り口として取り組めばいい」と期待した。 馳氏は今回の意見交換会を皮切りに、両知事が今後富山県西部や能登、南加賀を訪問し、各地の首長と議論を交わす機会を設ける考えを示した。