斬新なデザインや個性的イベント「ライフスタイルホテル」急増 「キャプション」も初進出
斬新なデザインや個性的なイベント開催で、宿泊だけでなく滞在自体を楽しめる「ライフスタイルホテル」が急増している。大阪・日本橋で12日に米ハイアットの「キャプション by Hyatt」が日本初進出。米ヒルトンも9月に「キャノピー」の国内1号店をJR大阪駅近くに出す。外資系以外でも、リーガロイヤルホテルを展開するロイヤルホテルが若者向けに計画するなど、市場参入が相次いでいる。 【画像】米ヒルトンが9月に開業する「キャノピー」の内観イメージ 日本橋のキャプションは一般的なホテルのロビーがない代わりに、旅行者と地元住民が過ごせる「トークショップ」という共用スペースがある。仕事したり、食事したり、会話を楽しんだりできるほか、月に1、2回は大阪文化に触れられる音楽やワークショップなどのイベントを開く。 日本ハイアットの坂村政彦副社長は「格式ばらずに誰もが自由に1日を過ごせる場。旅行者と地元の接合点となり、化学反応を起こしたい」と強調する。来年は東京にも出店を計画し、国内での拠点拡大に意欲を示す。 日本のライフスタイルホテルは、ハイアットが平成26年に東京で開業した「アンダーズ」を皮切りに拡大。米マリオット・インターナショナルも「モクシー」「W」などを有し、ヒルトンはJR大阪駅北側の再開発地区「グラングリーン大阪」で9月6日にキャノピーをオープンさせる。 国内系でも、パレスホテル(東京)が令和2年に大阪市で開業した新ブランド「ゼンティス」でさまざまな館内イベントを続ける。アナログレコードを楽しむイベントが特に人気で、曲を手がけたアーティストをイメージした料理を出すなどファン心理をくすぐる仕掛けもあり、「泊まっていた訪日客が参加するなど地元住民との交流が生まれている」(担当者)という。 「これまで捕捉できなかった客層にアプローチする」と意気込むのはロイヤルホテルだ。若年層を狙い、8年以降にライフスタイルホテルの新ブランドを計画する。 ホテルジャーナリストの井村日登美氏は、音楽やアートなどこだわりを持つ客層に狙いを定めるライフスタイルホテルについて「ターゲットは狭まるが、ハマれば満足度を上げやすい。競争が激化する中で生まれた新しい発想で、強化するホテルは増える」と指摘する。(田村慶子)