【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】5作目あたりで観るのを諦めちゃった人にこそ観てもらいたい『ソウX』
TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。 【全ての画像】『ソウX』『Good Dreams』
例えるなら『必殺仕事人』のような痛快さがあります
東京国際映画祭の会期中ではありますが、今回も劇場で上映中の埋もれちゃいけない作品をいくつかご紹介します。まずは公開中の『ソウX』。20年前から続いているソリッドスリラーの大人気シリーズ『ソウ』の最新作です。 末期がんで余命宣告をされたジグソウことジョン・クレイマーは、ガンの症状がピタリと治ってしまうという実験医療があることを知り、メキシコにあるという医療施設へ向かいます。そこで大金を払い、治療を受けたところ成功……したかに見えましたが、再検査の結果、全く改善していないことが判明。実はその治療を施した人々は詐欺師だったのです。復讐を決意したジョンは、主犯格となる男女4人を拉致。彼らに“ゲーム”を仕掛けるのですが……。 『ソウ』シリーズは、生死をかけた痛々しい拷問が連続するのが見ものですが、拷問をかけられるだけの理由や、必ず仕掛けられた伏線とどんでん返しが見事なことで人気シリーズに成長しました。とはいえ、これで10作目。きっと5作目あたりで「もういいよ」って観るのを諦めちゃった人多いと思うんですよ。それは1作目や2作目のような驚きがなくなっちゃったから。でもね、この作品はそういう人にこそ観てもらいたい。 時系列としては1と2の間にあたり、あのとき感動(!?)した人にはぶっ刺さるはずです。しかも、今回のターゲットはジグソウを騙した詐欺師たち。例えるなら『必殺仕事人』のような痛快さがあります。拷問のギミックや、そこに至るまでの仕掛けのオリジナリティは、このシリーズならでは。まだこういう手があったか……と思うはず。 そしてなによりこの作品が素晴らしいのは、ジグソウことジョンがどうしてこのようなゲームをするようになったのか、という原点が描かれているからなんです。細かいことは観てからのお楽しみですが、彼の生きることに対する執念から、ということが分かると、ストーリーの奥行きがぐっと深まっていくのを感じられると思いますよ。