東海大相模が初の神奈川決勝進出!身に着けたタフさと技術力で日大藤沢に良さを出させず3連覇を阻止
[11.3 選手権神奈川県予選準決勝 日大藤沢高 0-0(PK2-4)東海大相模高 ニッパツ] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 東海大相模が日大藤沢の連覇を止め、初の決勝進出! 第103回全国高校サッカー選手権神奈川県予選準決勝が3日に行われ、3連覇を狙う日大藤沢高と東海大相模高が激突。東海大相模が0-0(PK4-2)で勝ち、決勝(9日)へ進出した。 東海大五高(現東海大福岡高)選手、コーチとして選手権を経験し、同校監督も務めた有馬信二監督の就任から14年目で初の決勝進出。東海大相模は、16強入りした今夏を含めインターハイには4度出場しているが、選手や若いコーチに「絶対味わってもらいたい」(有馬監督)という選手権出場へあと1勝とした。 日大藤沢はGK小久保亮大(3年)、右SB酒匂陽豊(3年)、CB横山波音(3年)、CB榎本来輝(2年)、左SB宮川空(3年)、中盤の底に北浦悠月(3年)とU-19日本代表MF布施克真(3年)、トップ下が徳永壱太(3年)、右SH宮澤朋哉主将(3年)、左SH岩内類(3年)、FW伊東大輝(3年)の11人が先発した。 一方、東海大相模はGKが松坂亮(3年)、右SB森安南翔(3年)、CB塩田航央(2年)、CB石井龍翔(2年)、左SB佐藤碧(3年)、長井隆之介主将(3年)と高畑旺崇(3年)のダブルボランチ、右SH辻将輝(3年)、左SH小林正樹(3年)、トップ下が沖本陸(3年)、最前線に小林晄也(3年)が構えた。 延長戦を含めた100分間のシュート数は、互いに3本。東海大相模の有馬監督は「今日の戦いはもうミドルゾーンの戦いだっていうのはずっと言ってたんで。あそこで負けたら攻められるし、勝てば攻めれるしっていうところで、そこは止めることもできたけれど、もう1個前でやりたかったですけどね。そうすると、もっとチャンスがうちに来たかなっていうのはあったんですけど」と振り返る。 東海大相模は、高畑が日大藤沢の注目MF布施にマンツーマンに近い形でマーク。日大藤沢がビルドアップする際、SBが上がって空いたスペースへ落ちる布施や徳永に中央からプレッシャーをかけ、相手が消極的な選択をするようなシーンを増やしていた。ミドルゾーンの攻防で相手を止めることに成功。同時に「1番警戒してたんで。彼にボールが行かないように」(有馬監督)と相手MF宮澤にボールが渡らないような守り方で“要注意人物”を封じ、たとえボールが渡っても十分にはドリブルをさせなかった。 その東海大相模は、長井や小林晄が賢く、また献身的に味方の急所を埋める動き。加えて的確なカバーリングが光るCB石井や最終ラインから味方を動かす塩田、強度高くボールを奪い返す森保と佐藤碧の4バックも安定し、日大藤沢を良く封じこんでいた。 東海大相模も攻撃でなかなか重心を前に押し出せなかったものの、ボールの握り合いで日大藤沢を上回り、小林正、辻の両翼のドリブルなどを活用した攻撃。そして、スローインを獲得すると、佐藤碧が飛距離十分のロングスローを投げ入れた。 日大藤沢は榎本を軸にビルドアップ。宮澤が厳しいマークを受ける中でも攻撃を引っ張ったほか、布施が狭い局面を強引に抜け出そうとしたり、左SB宮川がクロスへ持ち込むシーンもあった。また、後半もポジションチェンジしながらボールを動かしていたが、佐藤輝勝監督は「もっともっとチャレンジして良かった。もっと自分たちの良さを出して欲しかった」と指摘。連動したパスワークで相手の守りを剥がすことを目指してきたが、3連覇のプレッシャーもあったか、その良さを積極的に出せなかったことを残念がった。 東海大相模は後半、よりオープンサイドを活用した攻撃。5分に高畑の右CKから佐藤碧がヘディングシュートを放つと、21分には左サイドからカットインした沖本の右足シュートがゴールを脅かす。また、佐藤碧のロングスローなどでゴールを破りに行く。だが、日大藤沢も布施がプレーエリア広く相手の前に立ちはだかったほか、ゴール前の攻防でも隙を見せない。 日大藤沢は後半にFW内田祥瑛(3年)、左SB小林昴瑠(2年)、MF高田航(3年)、CB 佐原和道(3年)をピッチへ。一方の東海大相模もMF西田蓮(3年)、FW山田大樹(3年)を投入し、小林晄をボランチに下げて試合終盤を戦った。 東海大相模がより迫力のある攻撃を見せていたが、日大藤沢は相手のサイドアタッカーを2人がかりでケア。交代選手たちを含めてゴール前でも堅守を発揮していた。スコアは動かないまま、後半終了。日大藤沢は延長前半開始からMF光田怜馬(3年)とFW有川啓介(2年)を同時投入する。延長後半開始直後には右CKから佐原が決定的なヘッド。また7分には、右サイドから布施と宮澤のコンビで攻め、クロスがファーへ流れたところに高田が飛び込んだが、GK松坂に阻まれてしまう。 一方の東海大相模は、沖本が相手MF布施との激しい攻防戦の中で光る動き。小林晄の展開から小林正が左サイドで2人をかわしてゴールへ向かうなど勝ち越し点を目指す。延長後半3分にはFW戸川昌也(2年)とFW佐藤瞭成(3年)を同時投入。終了間際に右からのクロスを佐藤碧が狙ったが、得点には結びつかなかった。 0-0のままPK戦へ突入。先攻・東海大相模は1人目の沖本が日大藤沢GK小久保に止められたが、相手の1人目・宮澤をGK松坂が止め返す。松坂はさらに相手2人目の布施のシュートもストップ。東海大相模は2人目の森安から佐藤瞭、西田と成功し、最後は佐藤碧が左足で決めて4-2で勝利した。 東海大相模は新チーム発足後、年明けは遠征を行わず、空いた学校グラウンドで1日中トレーニング。週末は茨城県の波崎へ移動して土日の朝7時から砂浜で走力強化を行ったという。食事量の増加などこれまでにない取り組みを実施し、上手い選手、賢い選手たちにタフさを植え付けた。 今までならば足が止まり、我慢できなかったようなゲームでも勝ち切れるようになった。そして、3年ぶりのインターハイ出場と初のベスト16進出。また、選手権予選で日大藤沢の連覇を止め、初の決勝進出を果たした。 選手権初出場まであと1勝。有馬監督はともに初優勝をかけた横浜創英高との決勝へ向けて「(選手には)『ここは絶対ものにしないとダメだ』と、『1回で答えを出さないと』っていう感じで言いました」と明かし、長井も「目指しているのはここ(決勝進出)じゃなくて、もう1個先なんで、気抜かずに今週もやって創英さんに絶対勝ちたいなと思っています」と宣言した。横浜創英には今季リーグ戦で2敗もインターハイ予選は1-0で勝利。トーナメント戦で再び勝利し、選手、スタッフ全員で選手権の景色を見る。