7&i、非中核事業の分離計画発表-25年2月期営業益は下方修正
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングス(HD)は10日、中間持ち株会社設立を柱とする非中核事業の分離計画を発表した。カナダのアリマンタシォン・クシュタールからの買収提案を受ける中、自社主導での企業価値向上が可能であることを市場に訴えかける。
中間持ち株会社を設立し、祖業であるイトーヨーカ堂をはじめスーパー事業関連企業や、ロフトやベビー用品を扱う赤ちゃん本舗などを移管する。対象は連結子会社24社と持分法適用会社7社の計31社に及ぶ。
中間持ち株会社は当初7&iHDの完全子会社として設立するが、外部資本を注入し、持ち分法適用会社化を検討する。創業家とのからの出資受け入れも視野に入れる。組織再編の効力発生は2月下旬を予定しており、連結業績への影響は軽微だという。
7&iHDは4月にスーパー事業の改革案として、新規株式公開(IPO)を提示していた。今回の中間持ち株会社設立と外部資本注入の発表は、そこから一歩前進した格好だ。7&iHDの社名を変更し、コンンビニ事業にフォーカスする姿勢も示すという。
ネットスーパー撤退
一方で同日発表した今期(2025年2月期)の営業利益見通しは4030億円と、従来計画から1420億円下方修正した。
コンビニ事業の不調が響き、前期実績から約25%の減益となる。ブルームバーグが集計したアナリスト15人の予想平均5240億円も大幅に下回った。
7&iHDは長引くインフレと高金利環境のなかで消費の二極化が進み、中低所得者層の消費に対する慎重な姿勢が強まったことで、海外のコンビニ事業が苦戦したと説明する。
利益の大部分を占める国内コンビニ事業についても、回復の兆しは見えていない。同日発表した9月の既存店売上高も前年同月比0.1%減で、4カ月連続のマイナスだ。
傘下のイトーヨーカ堂のネットスーパー事業撤退で、約460億円の減損も計上する。神奈川県で23年に新たな流通センターを稼働させるなど、宅配に注力する「ラストワンマイル施策」に取り組んできたが、投資回収が困難と判断した。