開幕まで1年を切った万博、今回の目玉展示は何?過去には月の石、冷凍マンモス… メッセージ性が集客の鍵
▽現代に万博を開く意義とは? 過去の万博では、月の石や冷凍マンモスを通して、人々は宇宙や太古へ思いをはせ、ロマンに酔いしれた。その頃に比べると、インターネットが発達して簡単に異文化に接することができるようになった現代。万博を開催する意義はどこにあるのだろうか。 二神さんは「インターネットで全てが体験できるわけでない」と話し、世界の人と直接交流したり、各国の料理を食べたり、文化に触れたりすることに対する人々の関心はなくならないと主張する。「本当は万博よりも実際にその国に行く方がいい。でもパビリオンでは疑似体験ができる。1日で何カ国も旅行した気分が味わえるのも万博だ」と魅力を語る。 ▽既視感ない取り組みを 今回の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。大阪市の人工島・夢洲で来年4月13日~10月13日に開かれる。万博を誘致した大阪府と大阪市が23年12月に全国6千人を対象に行ったアンケートでは、来場のきっかけとして最も関心を集めたのが空飛ぶクルマだった。
空飛ぶクルマと言えば、道路を走って空も飛べる乗り物を想像するかもしれない。しかし実態は機体に付いた複数のプロペラが回転して垂直に浮かぶ乗り物で、公道を自由に走れるわけではない。大型のドローンに人が乗るようなイメージだ。将来はタクシーのように客を乗せて飛び交うことを目指しているが、万博での商用運航は限定的となる見込みだという。 生きる心臓モデルは、iPS細胞から作製した心筋シートを貼り合わせるなどして作る予定で、研究者らが有効な展示方法を模索している。 万博は条約に基づき博覧会国際事務局が承認した博覧会で、1994年の総会決議では「現代社会の要請に応えられる今日的なテーマがなくてはならない」とされている。 万博に詳しい大阪公立大の橋爪紳也教授(63)は、21世紀の万博は本来、世界が直面する課題の解決策を示す場だと強調。企業など日本の展示について「博覧会の本質的な使命は単に来場者を楽しませることではない。半年で消えてなくなる博覧会という機会だからこそ、展示や出展でも実験や挑戦ができるはず」と、既視感のない取り組みに期待を寄せる。
さらに各国の展示についても、こう要望する。「会場では、生命を尊重するべきだというメッセージがあふれることになるだろう。同じテーマを各出展者がどう表現するのかを楽しみながらも、世界各地で戦争や病、災害が相次ぐ中で、生命の大切さに思いをはせることができる博覧会にしてほしい」