開幕まで1年を切った万博、今回の目玉展示は何?過去には月の石、冷凍マンモス… メッセージ性が集客の鍵
大阪市で2025年4月に開幕する大阪・関西万博まで1年を切った。1970年の大阪万博は月の石、2005年の愛知万博は冷凍マンモス―。過去に国内で開かれた大規模な博覧会では、人々の注目を集める展示があった。今回、そんな目玉候補となるのが「空飛ぶクルマ」や、人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術を応用した「生きる心臓モデル」だ。果たして集客力を発揮することがきるのか。(共同通信=河添結日) 税金を投入する価値ある?万博会場を歩いたら思ってもみない「声」が聞こえてきた 大屋根は「断片」、広がる更地…「国民不在の国家プロジェクト」
▽早くから目玉づくりに奔走した愛知万博 「自然の叡智」がテーマだった愛知万博では、シベリアの永久凍土から出土した冷凍マンモスに連日長蛇の列ができた。日本国際博覧会協会は万博のためにマンモスを発掘し、展示するプロジェクトの実行委員会を開催2年前に設立。「やはり万博には目玉が必要だ」と、早い段階から目玉づくりに本腰を入れてきた。 実行委員会の委員長を務めた東洋大の福川伸次総長(92)は「珍しくて魅力的なものがないと人は来ない」と指摘する。「あのころは地球環境に関心が高まっていた。マンモスは長い間大地に眠っていて、自然の保存力や大切さを伝えるメッセージになった」。万博のテーマを伝える象徴となる展示の重要性を、こう力説した。 そんな福川さんには、1970年の大阪万博を訪れ、太陽の塔や月の石、動く歩道に魅了された経験があった。「それぞれの万博には目玉がある。万博で注目を集めて刺激となり、新製品となったものは多々あった。画期的な何かを残してきた」。福川さんは、万博史をそう振り返る。
▽テーマの具現化、メッセージ性が大事 神戸市の会社員二神敦さん(51)は、8歳で訪れた1981年の神戸ポートアイランド博覧会以降、世界160以上のさまざまな博覧会を訪れている万博マニアだ。「どの万博でも絶対に行列ができるパビリオンのトップ3はドイツ、スイス、イギリス。体験型で印象に残りやすい」と話す。 二神さんは、愛知万博にボランティアとして参加し、毎週末に関西から通った。今回の大阪・関西万博では、ボランティア説明会で体験談を話して参加を呼びかけている。ドイツは遊んでいるようできちんとテーマについて学べる仕組みがあり、スイスは子どもから大人まで楽しめるエンターテインメント、イギリスは建築物が魅力的だという。 二神さんも福川さんと同様に、パビリオンの外観や展示でテーマを具現化し、どうメッセージを伝えるかが大事だと指摘する。「来場者が体験を通してテーマを理解することができれば、訪れる価値のある見逃せない場所となるのではないか」