カワウ数千羽がやって来る 「黒いギャング」から世界遺産の島を守る テープを張って早めの対策
広島ニュースTSS
冬の宮島に大群で押し寄せ、原生林を枯らしてしまう”カワウ″。 黒いギャングとも呼ばれる厄介な鳥から島を守るための対策を「ツイセキ」します。 【五十川記者】 「いました、いました。カワウです。一羽がゆっくりと羽ばたいていきました」 世界遺産の島・宮島の周辺を飛ぶ黒い鳥の正体…”カワウ″です。 23日、島の北東部には市と県の職員の姿がー 【廿日市市農林水産課・鹿野陽介さん】 「宮島に来るカワウがかなり執着心が強いので、今回は来る前にテープを張っていやがらせをしようと…」 陸と空から風になびく「テープ」を木々に張り巡らせ、視覚と聴覚で島にカワウを近づかせない作戦です。 昨シーズンはカワウの数が増えてから対策をとりましたが、今シーズンは未然に被害を防ぐことが狙いです。 【宮島漁協・丸本孝雄組合長】 「一週間前くらいから、100羽とかだんだん増えてきているので…分散してくれたら助かるんだけどね」 【五十川記者】 「なぜ対策を急ぐのか。それはカワウが一番最初に寝床にし始めた場所にあります。 夏場で緑が回復したとはいえですね、まるで人間が木を伐採したような状況になっています。当然、宮島ですから勝手に木を切ったりはできないんですけれども、この断面をご覧ください。朽ちたようになっているんですね。ギザギザです。枯れてしまったんです。カワウの爪痕が色濃く残っています」 カワウにとって冬場もエサの魚が豊富な瀬戸内海は、「越冬」に適した場所。 そのため、関西方面などからも多くやってきて、県内最大の寝床と化す宮島はここ数年、12月以降をピークに数千羽が押し寄せるようになりました。 【五十川記者】 「一気に飛んだ飛んだ飛んだ。夕日に染まった空に何羽ですか。数えきれません。黒い点が羽をパタパタとさせて向かっていきます。凄い量だ。うわー」 白いフンには酸性の物質が含まれるため、冬場だけとはいえ、数千羽のカワウが居座ると原生林は枯れてしまいます。 それだけでなく海の魚も食べつくすことから”黒いギャング″とも呼ばれているカワウ。 自然豊かで木々が生い茂る宮島は、風の影響を受けにくく羽を休めやすい環境がそろっているといいます。 【廿日市市農林水産課・鹿野陽介さん】 「海側から帰ってくるときに一番目立ちやすいように先端のほうにつけるようにしました」 少しでもカワウに気づいてもらえるよう海側の2か所、あわせて500メートルに「テープ」を張りめぐらせました。 【宮島漁協・丸本孝雄組合長】 「継続してやってもらえたら助かるので…」 宮島は島全体が特別史跡などに指定されているため、許可なく、樹木を切ったり捕獲したりすることができません。 法的な縛りがある中で継続的な対策が求められます。 【廿日市市農林水産課・鹿野陽介さん】 「見ての通り崩れてきているので、これをなんとか防いでいかないと。奥の大きな木も崩れていきますので、今やらないとまずいと思います。来なかったら一番ベストな対策ができたなと思うんですけどそれを目指しています」
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