歩道で卵は焼けるの? 科学的に解明!
卵に火が通るには温度は何度に達する必要がある?
卵のたんぱく質は、部位によって異なる温度で凝固し始める。おもにオボトランスフェリンとオボアルブミンと呼ばれるたんぱく質で構成される白身は61℃付近で、黄身のたんぱく質は65.5℃付近で色がつき始める。歩道で目玉焼きを焼くという都市伝説が根強く残っているのは、実際に火が通っているのではなく、熱で色が変わり始めた卵を見ているため。
卵を完全に焼くにはどのくらい時間がかかる?
歩道が必要な温度に達したとしても、このプロセスは即座には完了しない。アメリカの科学教育番組のホストで「サイエンス・ガイ」と呼ばれるビル・ナイ氏が、屋外で目玉焼きを焼く実験をした際には、屋外で火をつけていないコンロに鉄板を乗せて放置したところ、卵を完全に調理するのに必要な最低温度である54℃に達するのに20分かかったという。しかし、熱を正確に制御できる熱いフライパンとは違って、歩道の上に卵を割ると急速に表面の熱が失われ、温度によっては数時間かかる場合もある。 歩道で目玉焼きを焼くことは、極端な条件下であれば理論的に可能ではあるけれど、料理の実用性というよりは好奇心によって成せる業。太陽が照り付けて気温が上昇していても、歩道ではなくグリルかコンロで卵を焼くのが間違いない。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images