夫が歩合給制の職種になりました。給与が一定ではなく、残業もかなり上下します。このような給与体系だと社会保険料はどうなりますか?
会社員で働いている方の中にも、毎月ほぼ決まった額の給与を受け取っている人もいれば、収入が大きく変動するという人もいます。 社会保険料の額は、この給与の額に対して決まりますが、大きく変動する場合には、どういう仕組みが使われているのでしょうか。
社会保険料の算出の仕組み
社会保険料は給与の額によって計算されています。その基準となる給与額は、4月から6月の給与を「報酬月額」として算定基礎届を提出する「定時決定」で決まります。 具体的には、4月から6月までの3ヶ月間に支払われた給与の額を足して、3で割った金額が「報酬月額」となり、この額を所定の等級区分にあてはめて、標準報酬月額が決まります。 例えばある人の月収が、4月に25万円、5月に28万円、6月に26万円で、合計が79万円だったとすると、報酬月額は26万3333円となります。 この額を「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」と照らし合わせると、「報酬月額25万円~27万円」の区分である、標準報酬月額20等級に当たる26万円が、健康保険料の基礎数値となります(厚生年金保険料の場合、17等級)。 このとき40歳未満の場合、健康保険料1万3000円(労使合計2万6000円)と厚生年金保険料2万3790円(労使合計4万7580円)の、合計3万6790円が、9月から翌年の8月まで差し引かれることになります。
<図表> 出典:全国健康保険協会「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
毎月の給与がバラバラの場合
それでは、今回のタイトルのように、毎月の給与が歩合給となり、変動が大きい場合はどうなのでしょうか。 基本的に標準報酬月額は、毎月の給与の変動が大きい場合でも、4月から6月の3ヶ月の平均を基にして算出することになります。 ただし、毎月の固定的賃金に昇給や降給など変動があった場合で、変動した月から3ヶ月間に支給された報酬が、これまでの基礎となっていた標準報酬月額に比べて2等級以上の差がついたときは、月額変更届を提出することで、賃金の変更後の4ヶ月目から社会保険料が随時改定されることになります。 例えば、前表の20等級から収入が大きく増えて、報酬月額が33万円~35万円となり、標準報酬月額が24等級になった場合は、届け出を行うことによって、提出した翌月から8月までの間の社会保険料が変更されることになります。 しかし、今回は歩合給による変動ということで、固定的賃金の変動がないので、社会保険料の変更はできないこととなっています。