戸田市「AIで不登校予測」、9割が「信頼性高い」 「ダッシュボード」連携で教育データ活用を推進
ハードルが高い「いじめや貧困・虐待のSOS検知」
今後は不登校だけではなく、いじめなどのSOS検知にも取り組む方針だが、現時点ではまだ本格的に着手するには至ってない。 「いじめ予測についてはデータのサンプル数も少なく、不登校予測よりもハードルが高く慎重な対応が必要になります。貧困や虐待のSOS検知も同様ですが、そもそもいじめられた子や貧困家庭の子のデータを教師データとしてよいのかというと、難しいと感じています。児童生徒のテキストデータなどから異常を検知するなど別の方法もあり、まだまだ検討が必要な段階にあります」(秋葉氏) 今回の実証事業では、ダッシュボードは「バラバラだったデータをワンストップで確認できるのはありがたい」といった声が多く寄せられた。学力やアンケートの結果も経年比較でき、小中連携の観点からも状況を把握しやすいということで、現場からの評価が高かったという。「実際にデータを活用いただくことで、学校現場のデータリテラシーが向上し、データ取得の重要性も実感いただけたと感じています」と、秋葉氏は話す。 今後の教育総合データの利活用はどう進んでいくのか。教育政策室長の片境俊貴氏は、次のように説明する。 「トライアンドエラーを繰り返しながら、挑戦しつつ改善していく形でやってきましたが、その目的はデータベースを使うことではなく、子どもたちの支援を手厚くすることにあります。また、学校現場が使えるものにしていくことも大切です。当面の目標としては、やはりデータの自動連携などタイムリーにデータを更新できる体制を整えていきたい。SOSの早期把握ができるよう、AIなどの最新技術も活用しながらさらに精度を高めていきたいと考えています」 (文:國貞文隆、写真:埼玉県戸田市教育委員会提供)
東洋経済education × ICT編集部