中日投手→イチゴ農家に〝コンバート〟 三ツ間卓也さん、横浜市で観光農園オープン
農大校で技術習得、農地確保に奔走
引退後の「セカンドキャリア」に、イチゴ農家を選んだ元プロ野球選手がいる。中日ドラゴンズの投手だった三ツ間卓也さん(31)だ。農業経験はベランダ菜園程度だったが、農業大学校で学び、農地の確保に駆け回るなど約2年かけて準備。横浜市に今月、念願の観光農園を開業する。 【画像】現役時代の三ツ間さん 「農業を野球選手のセカンドキャリアの選択肢にしたい」と三ツ間さんは公言する。全国の野球ファンが観戦と併せて訪れる交流の場にしようと、横浜スタジアムから電車と徒歩で1時間程度の場所に40アールの農地を確保。ハウス5棟を建て、高設栽培で「紅ほっぺ」や「おいCベリー」、「桃薫」、白イチゴの「天使のいちご」など9品種を育てる。5日に直売、27日に摘み取りを始め、6月下旬まで開園する予定だ。 三ツ間さんのように、農家出身ではない元プロ野球選手の就農は異例だ。日本野球機構によると、三ツ間さんと同じ2021年にプロ野球を引退した143人のうち、75%が野球関係の仕事に就いた。他は一般企業への就職が多い。
ベランダの家庭菜園が始まり
就農は家族が後押しした。新型コロナ禍でプロ野球の開幕が延期された20年、外出もままならない中、当時1歳の息子のためにベランダで家庭菜園を始めた。「おいしい」と言われたのがイチゴ。21年12月に引退を決断すると、妻は「好きなことをしてほしい」と勧めた。試合で疲れて帰宅しても、夢中で世話をする姿を見ていたという。 家族のために「最短で就農し、収入を得る道を探した」結果、神奈川県立の農大校・かながわ農業アカデミーを知り、同月中に出願。縁のなかった同県内に引っ越し、翌年4月から1年間学びつつ、経営計画書を練った。横浜市のイチゴ農家で実習も重ね、認定新規就農者にもなった。 ただ、農地探しが難航し、一時は就農を断念しそうにもなった。地権者に飛び込み訪問をしては断られ、数十軒回ってようやく借りられた。「元野球選手=お金持ちと見られ、本気で農業をやる気があるのかと思われた」。実際には、設備投資のために数千万円を借り入れ、一部は譲り受けたり、材料を安く仕入れて自作したりしてコストを抑えている。