「投資がうまくいくかどうかは運だが…」森永卓郎が指摘する、バブル崩壊で破産者になる人の共通点
投資依存症 こうしてあなたはババを引く #1
2023年に「資産所得倍増元年 - 貯蓄から投資へ」というスローガンが政府から発信された。税制優遇措置もあり、これまで投資に興味がなかった多くの人たちも投資を始めたが、経済アナリストの森永卓郎氏は多くの人が投資に夢中になる今の状況に警鐘を鳴らしている。 【画像】1630年代にオランダで起きたバブルといえば? 書籍『投資依存症』(三五館シンシャ)より一部を抜粋・再構成し、その危険性を説明する。
投資がうまくいくかどうかは運
投資信託を買うと、運用会社に毎年信託報酬を支払う。その料率は、比較的料率が低いインデックスファンド(S&P500とか日経平均など、すでに投資の分散先が確定しているファンド)でも、0.05%から1.7%程度だ。 一見、たいしたことがないように見えるかもしれないが、たとえば信託報酬が1.7%だと、10年間運用した場合は、投資金額の17%が運用会社の懐に入る勘定になる。 ちなみに運用会社が投資する銘柄を決めるアクティブファンドのなかには、信託報酬が2%を超えるものもある。ファンドマネージャーが、成長性の高い銘柄を選択することで、より高い利回りを実現するのだから報酬は高くて当然という触れ込みなのだが、アクティブファンドの運用成績がインデックスファンドの成績を上回っている証拠は存在しない。 私の元同僚であり、友人でもあった山崎元氏は、2024年1月に亡くなったが、生前私にこんな話をした。 「森永さん、運用という言葉は〝運を用いる〟と書きますよね。投資がうまくいくかどうかは運で決まるんです」 資産運用のプロ中のプロだった山崎氏でさえ、何に投資したら儲かるかはわからない。未来のことは、誰にも予測できないからだ。 それなのに、金融のプロは、さも自分たちには未来が見えるような顔をして、高い手数料を顧客から受け取る。しかも私がおかしいと思うのは、彼らは仕事が成功しても、失敗しても手数料を変えない。 たとえば、投資信託の基準価格が下落すれば、投資家は損失を被る。ところが、そうしたときにも、運用会社は既定の信託報酬を要求する。投資家は泣きっ面に蜂になるのだ。 私の苦情に配慮したわけではないと思うが、最近になって、成果報酬型の信託報酬を採用する投資信託が登場した。しかし、その投資信託の信託報酬の額は法外なほど高く、とても使いものにならない。金融業者というのは、それほど強欲な存在なのだ。