アナログレコードの音質は「ハイレゾ」や「CD音源」より良いのか?
つまりアナログレコードは「連続量」であり、CDは「離散量」で音を表現します。両者は同じ音楽再生媒体ですが、原理や仕組みがまったく異なります。そしてハイレゾは「デジタル」ではある一方、CDよりも細かくデジタル保存されているため、従来のデジタル音源よりも、極めてアナログレコードに近しい品質を再現できます。
「ハイレゾ」とMP3やAACは何が違う?
先ほど「アナログレコード」と「ハイレゾ」にはデジタル、アナログの違いはあるものの、類似性もあるとしました。では「ハイレゾ」以外のデジタル音源(例:MP3、AAC)と、アナログレコードには類似性はあるのでしょうか。 結論から言えば、両者に類似性は「ない」に近しく、「アナログレコードより、MP3やAACの音質が良い」とは言い難い部分があります。
まずMP3とAACは両方とも不可逆圧縮音源と呼ばれます。これらの形式は、人間の耳で聞き取りにくい音を取り除くことでファイルサイズを小さくします。この過程で一部の音声情報が失われるため、元のデータを完全に復元することはできません。 なおハイレゾは通常、可逆圧縮(FLAC、ALAC)などの形式で提供されます。可逆圧縮の場合、元のデータを完全に復元できるため、音質の劣化はありません。 つまりMP3やAACは「一部の音声情報が失われている」時点で、まずロスレスと呼ばれるCD音源より低音質です。そしてもちろん約20kHzを超える音の広がりを含む、アナログレコードやハイレゾよりも低音質です。 無論、MP3やAACにはファイルサイズの小ささという利点もあり、たとえば「安いイヤホンで、スマホで音源を移動中に再生する」程度であれば十分な音質です。一方「音質」という一点で見れば、良くも悪くも「従来のCDやアナログレコードよりも低音質な音源を、インスタントに楽しむ」聴取スタイルが一般化しているとは言えるでしょう。
アナログレコードの人気再燃は「コレクション性」と「高音質」の両立が要因?
音質の観点で見ると、アナログレコードはそもそも「デジタルではなく、CDには収録されない周波数も含まれている」点で極めて特殊な媒体と言えます。 あえて「デジタルっぽい」言い方をするならば、ハイレゾ相当の音源を再生できる媒体がアナログレコードです。CDやMP3やAACでは楽しめないレベルの音質を楽しめるものであることは、間違いありません。 アナログレコードは「CD音源」より音質が良いかと言えば、規格上20kHzを超える高音はスパっと切られているCDに比べて「音質が良い」と言えるでしょう。当然、CD音源を下回るiTunes StoreのAACや従来の「着うた」などよりもアナログレコードは遥かに高音質です。 そしてハイレゾよりもアナログレコードの音質が良いかと言えば、今回の記事で述べている通り、ハイレゾは「アナログレコードに近しい」とは言えます。 アナログレコードの人気再燃は、ハイレゾレベルの高音質と、ジャケットの可愛さやコレクション性を両立した「アナログレコード」の商品としての魅力が、時代が変わって再認識されていると言えるでしょう。
オトナライフ