三木道三「一生一緒にいてくれや」の“女編”が大ヒットした女性歌手の“意外な現在”
オーディションに合格するも、デビューシングルは低迷
「今だから話せますが、じつは一次審査に受かったとき、私だけ納得のいかない顔をしていたと思います。一緒に挑戦した相方が落ちてしまったので、『なんで私だけ?』って。もちろんオーディション担当者の方からは事前に『チームで受けても両方受かるとは限りませんよ』って説明されていたんですが。頭では分かっていても、心が追い付いていなかったのかも」 Sakiさんは「このままオーディションを蹴って相方と活動していくのか、次に進んでみるのかすごく悩んだ」と、当時の気持ちを振り返ります。 「でも最終的にはチャレンジしてみたいと思ったんです。もしオーディションを途中で離脱したら、やめたことを人のせいにしてしまうかもしれない。自分の人生だし、どこまでいけるのか試してみたくなったんですよね」 自分の可能性に挑戦してみたい。そう覚悟を決めてオーディションと向き合った末、最終審査に合格。RSPとしてデビューへの道を掴みました。しかし、1stシングルの「A Street Story」(※2006年12月リリース)はオリコン最高順位55位と奮わず。 レコード会社から「2ndシングルで5万枚以上売れなかったら契約終了」と言われ、メジャーの厳しさを知ったSakiさん。「Lifetime Respect -女編-」は、そんな厳しい状況の中リリースされました。
初のMステ出演でタモリ氏に……
メンバーや関係者の不安を覆すかのように、オリコン週間チャート4位を獲得し爆発的なヒットを遂げた「Lifetime Respect -女編-」。Sakiさんは当時、「自分事として受け止められなかった」そうです。 「正直、『うわっ、すごい』と他人事な感じがしていました。もちろん私も一生懸命練習して歌ったけど……他のメンバー、レコード会社の人、事務所の人、三木道三さん、たくさんの人が関わった中で、声を出した一人でしかないと思っていたんです。年末の歌番組で最優秀新人賞をもらったときも、メンバーは泣いているのに、私だけ若干冷めているというか。当時の性格的に、ちょっと冷静な自分がいつも隣にいる感覚があったんですよね」 いちばん感動を味わったのは、ミュージックステーションに初出演したときだったとか。 「出演が決まったときも生放送で出たときも、すごく嬉しかったですね。タモリさんに『福岡出身です!』って言えたし(笑)。Mステ出演者は記念にティッシュをもらえるんですが、嬉しくてすぐに使い切りました。願掛けじゃないけど、使わないと次も出られないって思っちゃって」 4thシングル「M ~もうひとつのラブストーリー~」で再びMステへの出演が叶ったときの経験は、今でも印象に残っているそうです。 「曲の最後のほうで、音が落ちてリズムが一瞬なくなる部分があるんです。私のロングトーンのあと一拍くらいの沈黙があり、もう一度私の歌から音が戻ってくる。カウントをひとつ間違えたら、リズムが合わなくなってめちゃくちゃになる大事なパートです。それを生放送で、ちゃんとカウンターを当てにいったのは、『めっちゃ怖いのにようやったな』と今でも思います。 一定のテンポを保ち続けるタイム感や、リズムの大事さを掴むのに必死だったからできたけど……もしミスっていたらと思うとゾッとするし、事故が起こらなくてよかったよねって(笑)」