従業員基準追加で適用対象拡大 下請法改正へ有識者会議報告書 公取委・中企庁
公正取引委員会と中小企業庁は17日の有識者会議で、下請法改正に関する報告書をまとめた。 下請法の適用逃れを防ぐため、資本金に加えて従業員数の基準を新設し、対象事業者を拡大。業務を請け負う中小企業が適正に価格転嫁できるよう促す。改正案は来年の通常国会への提出を目指す。 報告書は、30年間続いてきたデフレが「企業や労働者の行動を萎縮させ、イノベーションをそぐ一因となってきた」と指摘。価格転嫁は進みつつあるが、中小を含む供給網全体で定着させる環境整備が重要だと訴えた。座長の神田秀樹東大名誉教授は「価格転嫁が進まない商慣習を見直さないと経済全体のダイナミズムが生まれない」と強調した。 現行法は、企業の資本金が3億円超の場合、3億円以下の企業に発注する取引などが対象。ただ、コロナ禍で減資して税優遇を受ける企業が相次いだほか、取引先に増資を迫り下請法の適用を逃れる例もあった。このため報告書は、従業員基準を新設。製造業で300人超の企業から300人以下の企業への発注、サービス業は100人超から100人以下への発注を対象にするのが妥当とした。 「買いたたき」規制では、十分な協議を経ない一方的な取引代金の決定を禁止。企業の上下関係を印象付ける「下請け」の用語は見直し、法律名も改める方針だ。