5千万円超の飲食、契約隠し増資募る 特捜部に起訴された「新電力安売り王」の尽きぬ疑惑
■経営悪化でも買取りを…
訴訟は、代表取締役を務めていたFPの資金のやり取りを巡っても起こされている。
関係者などによると、埼玉被告はFPの経営が悪化していた平成31年3月、FPの電力を、自身が代表だった別のエネルギー関連会社に高額で買い取らせる契約を締結したという。
このエネルギー関連会社は、埼玉被告がFPの代表を外れた後の令和3年3月、契約の金額が相場よりも高額だったため約31億円の損害が出たとして埼玉被告を提訴した。「経営判断だった」と反論する埼玉被告側に対し、原告側は「一方に多額の損失が生じることが確実視されていた」などと主張している。
また、IDIIを巡って起きている別の民事訴訟の判決では、このFP絡みの契約を「実質的に利益相反」だったと認定。さらに、埼玉被告がこの契約を隠してFPへの増資を募っていたとして「投資家を欺くものだ」とも指摘した。
関係者によると、今回、特捜部が立件した特別背任事件では、IDIIから違法に支出したとされる資金が、最終的に埼玉被告が実質支配するシンガポールの企業に送金された疑いがあるという。
東京・銀座の高級クラブで散財を繰り返し、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった被告は現在、東京拘置所で宴会とは無縁の暮らしを送っている。(桑波田仰太、久原昂也、星直人)