渡辺明九段が紫綬褒章を受章「想像していないことで驚いた」将棋界では“最年少”、2018年の羽生善治九段に続き16人目
将棋の渡辺明九段(40)が2日、令和6年「秋の褒章」において紫綬褒章を受章した。知らせを受けた渡辺九段は、会見で「想像していないことで驚いた」と率直な思いを語った。 【映像】日本シリーズ決勝進出を決めた渡辺九段の表情 紫綬褒章は、長年にわたり学術・芸術上の発明、改良、創作に関して実績の著しい者に受章される。将棋界での褒章受章者は16人目となる。 過去の褒章受章は、初の受章者となった木村義雄十四世名人のほか、升田幸三九段、大山康晴十五世名人、加藤一二三九段、谷川浩司十七世名人、さらに2018年に羽生善治竜王(当時)ら。渡辺九段の40歳での受章は、将棋界では最年少となる。 会見に臨んだ渡辺九段は、「想像していないことで、驚いたというのが一番の感想。今まで受章されてきた先輩方と比べて自分は若く、受賞する理由がほぼないと思う。それでも今は将棋を取り上げていただく機会が多く、その波に乗らせて頂いた結果なのかなと思う」と率直な思いを語った。 渡辺九段は、史上4人目の中学生棋士として2000年に15歳11カ月でプロ入り。永世竜王、永世棋王を含むタイトル獲得数31期は、歴代でも4位の快記録だ。何度となくタイトル就位式や各種表彰式などの大舞台に立ってきたが、「タイトル戦や公式戦は個人の結果。今回は将棋界を高く評価していただき、大勢のファンの方に注目していただいている結果だと思っているので、喜びもすごく感じる。今まで将棋界をこの日まで繋いでこられた先輩方や、いろんな方へ感謝したい」と気持ちの違いも語っていた。 現在もトップランナーとして棋界をけん引しており、今年度は王位戦七番勝負で藤井聡太七段(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)とタイトル戦で6度目の対戦を行った。これまでは“全敗”を喫しているものの、「現実的には難しいんだろうとは思うが、完全に諦めてるという気持ちでもない」とコメント。「完全に諦めてたらもう研究はしないと思うので、そういった熱量はあんまり変わらず来れている。そういった意味では、自分が元々居たポジションに戻るということもまだあきらめてはいない」と強調。タイトル奪還へ捲土重来を期した。 今年度は渡辺九段にとって、日本将棋連盟勤続25年の節目の年にもなる。「こんな年齢になっちゃったんだなっていうところが一番ですが、羽生世代を中心に自分より一回り以上先輩の方もまだ活躍されている。“トップ棋士”や“一線”という言葉が使われるが、その範囲内で一年でも長くやっていきたいという思いもある」とし、「どれだけ将棋に取り組めるかということと、求められる役割があれば貢献していきたい」と今後を見据えていた。 ◆渡辺明(わたなべ・あきら) 1984年(昭59)4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年四段昇段で史上4人目の中学生棋士となる。2004年、20歳8カ月で初タイトルの竜王を奪取。以降、名人3期、棋王11期など史上4位の31期。竜王と棋王は永世資格を保持している。趣味は野球観戦、競馬、カーリング、サッカーなど多種多彩。
ABEMA TIMES編集部