木村拓哉、『グランメゾン東京』メンバーと5年ぶり再会もブランク感じず
◆尾花夏樹を演じて変わったこと
――久しぶりに尾花を演じてみていかがでしたか? 木村:尾花を通して、料理という名のエンターテインメントの様々な瞬間に立ち会えますし、色々な気持ちにさせてもらえます。「ミシュランガイド東京2025」の発表セレモニー会にスペシャルゲストとして出席させてもらって、「三つ星」に選ばれた方たちの屋号を発表させてもらったんです。そこには前作とスペシャルドラマで監修してくださった「カンテサンス」の岸田(周三)シェフもいて。 ドラマで描かれていることはごく限られた世界かもしれないですけど、その一端を尾花夏樹として味わうこともできますし、共演者、スタッフももちろんそうですけど、撮る人撮られる人が一つのチームとなって特別な価値観と世界観を作り上げていて、そこを煮詰めていくような感じは楽しかったです。尾花を演じるまでは、正直「ミシュラン」と聞いたらタイヤメーカーの名前が浮かんでいたのですが、『グランメゾン東京』で充実した時間を過ごさせてもらったことで、違う響きになりました。それは「ミシュランガイド」というものに対して、ものすごい熱量、モチベーション、ストレスと向き合っている方たちの存在を知ることができたから。全ての命をいただいているという気持ちが生まれたことによって、「いただきます」という言葉の重みがさらに実感できるようになりましたし、個人的にも、作品としても非常に面白いですし、共演者もスタッフも僕にとって宝物の1つです。 ――5年という月日は感じられましたか? 木村:尾花は人に対するコミュニケーション能力が高いほうではないので、台本を読んでいても、また険しい道を通っていくのかという思いがありましたし、結果面白いなと思う部分も。鈴木京香さん演じる早見倫子も、倫子さんなりのコロナ禍を過ごし、お店を守った。ですが、守ったからこそ失ったものもあるんだなと。実質、5年弱の時間が経過していますが、この人たちは各々その時間をしっかりと生きてきた人たちなんだろうなと台本を読んでいて感じました。再会という形になりますけど、その過ぎた時間のブランクは、現場でお会いしたときには一切感じませんでした。皆さんがその場に、5年前と同じシチュエーションで、衣装を着ていてくれるだけで、各々のスイッチが同時にカンって入ったような感じでした。 ――それはこのチーム、キャスト陣が揃ったからこそでしょうか? 木村:それはものすごく大きいと思います。「カット」の声で役から離れると思うのですが、なぜかずっと役の延長線上にいて。味を当たるのも、本当においしくないと嫌だという気持ちがあるから。倫子さんも、鈴木京香さんのはずなのに、「うちの店で出すカトラリーとしてはどう思われます? 木村さん」と言ってきたり。役の感覚や意識が共存していた現場でした。そして、スペシャルドラマに出演される窪田正孝さん、北村一輝さんという新たな存在も。料理にたとえて言わせていただくと、素材が加わってくれることによって出し方が変わったので、すごくありがたかったです。