「最初のひと口はその日一番頑張ったことを思い出しながら」夜間当直の小児科医師たちを支える、極上レシピ【書評】
夜間の小児診療には、一刻を争う事態の子どもたちも多く運ばれてくる。なかには、とある事情から予防接種を受けていなかったり、独自の医療理論に頼っている家庭も。ある一方から見れば「困った親」扱いされてしまう保護者像を、現役小児科医でもある原作者・ちんねん先生が描いたことに本作の矜持を感じる。
ヒヤッとするような考えを露呈する家庭に対して、本作では頭ごなしに否定を投げつけることはしない。マイペースな神辺先生のキャラクターのせいだろうか、むしろどこかゆるりとした余白すら漂っている。追い詰めるのではなく包み込むような空気感は、子育て中の家族の心も癒してくれるに違いない。 文=ネゴト/ あまみん