【詳報】「お金の誘惑に負けなければ…」闇バイトに加担した元大学生が法廷で語った“後悔” 被害者は死亡 「ルフィ」グループによる狛江市の強盗致死事件
■指示役から詳細な犯行計画「いきなりボコして大丈夫です」
2023年1月12日。指示役からテレグラムで次の誘いがあった。 ――指示役「sugar」 「案件がある」「人数は4人そろえて行こうと思う」「経験者もいます。今回どうしますか?」 狛江市の住宅に強盗に入る計画だった。報酬は「100万円から200万円」と説明されたという。金には困っていたし、目の前には、犯行後も逃げ切れている加藤被告がいる。中西被告は、誘いに乗ることを決めた。 狛江事件の3日前。指示役と実行役が入った「テレグラム」のチャットグループに、「Kim」と名乗る別の指示役から詳細な計画が送られてきた。 ――指示役「Kim」 「凸前からリーダーと電話つないだままいって、退避完了までつないでいるので 的確に指示します」「ドアが完全に開いたら、いきなりボコして大丈夫です」「大体大声出すので、顔面、喉、 みぞおち狙って下さい」 宅配業者を装って住宅に押し入り、住人を縛って金の保管場所を聞き出すという計画だった。事件前日、中西被告は宅配業者を装うための段ボールなどを購入。もう後戻りできなくなっていた。
■「殺さない限り全力で」現金なく焦る指示役に実行役は…
事件当日の1月19日。中西被告は別の実行役3人と神奈川県内のコインパーキングに集まった。 犯行に使う車は2台。強盗の対象の住宅に行くために使う車を「突撃車」、逃げるために使う車を「逃走車」と呼び、実行役4人は、2台の車に分かれて狛江市の駐車場に向かった。「逃走車」はその駐車場に残し「突撃車」に乗り換えた4人は、犯行現場となる住宅近くに到着した。 ――指示役「Kim」 「落ち着いて。迅速に的確にお願いします」 そして午前11時31分頃。 宅配業者にふんした中西被告がインターホンを鳴らした。 ――中西被告 「お荷物です。ハンコお願いします」 玄関から出てきた女性が荷物を確認すると。 ――女性 「これは私宛ての荷物じゃないので受け取れない」 背中を向け自宅に戻ろうとした女性を 野村被告が抱え上げ、4人はそのまま住宅に押し入った。中西被告は、女性の両手を結束バンドで縛りタオルで口をふさいだあと、ワイヤレスイヤホンをつけ指示役と電話をつないだ。 実行役4人は女性をおさえる役割を交代しながら、現金がないか家の中をくまなく探した。しかし、数十分、物色しても現金は見つからず、女性から現金の保管場所を聞き出すこともできなかった。しびれを切らした「三橋」と名乗る指示役が焦った様子で電話越しに怒鳴ったという。 ――指示役「三橋」 「指飛ばせ」「刃物持ってこい」「殺さない限り全力でやれ」 実行役のリーダーだった永田被告は決意を固め「バールとってこい。やれ」と野村被告に指示。野村被告は長さ約75センチ、重さ約1.2キロあるバールの端を持ち、女性に振り下ろした。大きな鈍い音が室内に響き渡った。 ――女性 「痛い。なんでこんなことするの。お父さん助けて」 ――永田被告 「金のありかを言わなきゃ殴るぞ」「家を燃やすぞ」「家族を殺すぞ」 中西被告は、両手を縛られ抵抗できない女性が脅されながらバールで10回ほど殴られ続けているのをただ見つめていた。“止めたら自分が殺されるかもしれない――”中西被告は恐怖でその場に立ち尽くすしかなかった。 女性はろっ骨や胸骨など上半身30か所の骨を折るほどの激しい暴行を受け亡くなったが、現金の保管場所については最後まで話さなかった。