毛玉取り器と伝統工芸がコラボ 外装に「奈良井曲げ物」 マクセルイズミ新商品 長野県塩尻市
家電など製造のマクセルイズミ(本社・長野県松本市笹賀、椙棟〈すぎむね〉直人社長)は5日、長野県塩尻市の奈良井宿の伝統工芸品「奈良井曲げ物」を外装にあしらった毛玉取り器を発売した。地域の伝統工芸を自社製品に取り入れ、文化の継承や環境保護に取り組む同社のプロジェクトの第1弾製品で、椙棟社長は「ものを大事にする気持ちを次の世代へつなぎたい」と力を込めた。 直径約6センチ、高さ約11センチで、重さは166グラム。同社が専用に開発した毛玉取り器を、伝統工芸士・小島貴幸さん(60)=塩尻市奈良井=の漆塗りの曲げ物が覆う意匠だ。曲げ物には木曽産のヒノキとサワラが使われていて、湿気や衝撃に強い特に良質な素材を採用した。 奈良井曲げ物の伝統工芸士は現在、小島さんを含めて2人のみ。もう1人も90代で、作り手の高齢化や後継者不足が大きな課題となっている。一方、既存製品の市場規模だと若手を育成するだけの余裕はなく、新たな市場の開拓が望まれていた。小島さんは「工業製品との融合に曲げ物の新たな可能性を感じた」と期待を寄せる。 椙棟社長は「メーカーとして社会課題の解決に貢献したい」と第2弾以降の商品開発にも意欲を見せた。 同社のオンラインストアで税抜き4万円で販売していて、松本市のふるさと納税の返礼品としての取り扱いも申請している。県内の実店舗での販売は「検討したい」とした。
市民タイムス