スシローvsくら寿司vsはま寿司…“競争激化”の回転寿司チェーン。「栄枯盛衰で生き残る」カギは
損益分岐点の低い店づくりがカギに
今は原材料高、エネルギーコスト高、円安、人手不足と賃金上昇機運の高まりなど、飲食店の事業運営には大きな逆風が吹いている。何でも値上がりする環境条件の中でいかに損益分岐点の低い店作りをするかが生き残りのカギになる。 飲食店は材料費や人件費など変動費の割合が60%程度と高く、徹底した管理で利益の出る店にできると思う人が多いが、これらは完全なる変動費ではない。人をモノのように削ったり、低品質の食材を仕入れるのは論外なのである。 だから、従業員には金銭的報酬だけでなく、福利厚生にも力を入れ、顧客の満足度だけでなく、従業員のも満足度を上げなければいけない。店は人なりを再認識し、従業員満足=顧客満足を徹底させねばならない。人とロボットとの最適な協働体系を確立し、販管費の低減に向け効率的なオペレーションを追求することが肝要である。
回転寿司の本道を極める業界首位「スシロー」
スシローは原価率が50%近くと商品力に強みを持ち、回転寿司の本道を極めるスシローの寿司にお客さんは高い評価をしている。 コロナ禍の回転寿司業界で衛生管理に若干の批判があったり、客のイタズラ投稿や景表法違反で逆風が吹いたものの、さすがは商品力のあるスシロー。すぐに再生し、首位の座をキープしており、2位以下に差をつけている。頻繁に魅力ある期間限定企画を実施し、ネタも新鮮で大きく顧客満足度が高い。 現在、スシローは日本、韓国、台湾、香港、シンガポール、インドネシア、タイ、中国大陸で事業を展開中。海外の店舗数は、韓国9店舗、台湾38店舗、香港25店舗、シンガポール9店舗、インドネシア1店舗、タイ18店舗、中国大陸36店舗だ(2023年11月末時点)。
スシローとの差別化を図る「無添くら寿司」
総店舗数は2位だが国内店舗数は3位の無添くら寿司。運営はくらコーポレーション。寿司の美味しさは首位のスシローと比較しても遜色はなく、寿司以外のメニューもバリエーション豊かである。 この店の特徴は、どこよりも増して、衛生管理を強化しており、食の安全性に力を入れていることである。化学調味料、人工甘味料、合成着色料、人工保存料といった添加物の不使用を「無添」とうたっているから当然のことだと思われるが、費用対効果を考えて、それなりの店があることも事実である。 また、お子さんに人気の企画や店内演出でも集客に力を入れている。「鮮度くん(寿司カバー)」上部についているQRコードによる製造時間制限管理システムを導入後、長時間レーン上に置かれた寿司を廃棄するシステムも導入。客が皿を投入口(皿カウンター)に入れることで洗い場まで自動的に回収され、同時に枚数がカウントされ、精算される。テーブル席に5皿ごとにカプセルトイの景品が当たる抽選機「びっくらポン」も導入し、子供さんに人気で大人でも楽しんでいる。 全店舗に店舗支援システムがあり、本部から全店舗を見ることができ、運営における援助をすることができる。寿司だけでなく、追い鰹醤油らーめん、天丼、うな丼も販売して魅力度を増している。くら寿司も各社と同様に115円均一価格を維持させるための対策として、粗利益が確保できるらーめん・丼物・デザートなどを積極販売。そして、メニューの拡充を図りながら、粗利ミックスを活用して原価を適切にコントロールしている。