藤井隆、どん底の自分を救ってくれた東野幸治さんの言葉
あと「oh♪dolly25」(テレビ朝日系、06年」という歌番組がありまして。これは、スタッフさんにも無理を聞いていただいて、企画からセットまで僕が考えてやらせてもらっていたんです。自分が「こうしたい」と思うことをこれでもかとさせてもらった番組でした。ところが、この番組が半年ほどで終わることになった。これはショックでした。 ま、今から考えると、例えば、ゲストの郷ひろみさんが歌ってらっしゃるのに、その後ろで僕がバックダンサーとして踊りまくっていて、そちらに目がいってしまうとか…。普通じゃないところもたくさんあったんですけどね(苦笑)。 もちろん、番組はいつかは終わるもの。始まりがあれば終わりがある。それは分かっているつもりだったんですけど、この時ばかりは、ウソみたいに食べ物もノドを通らなくなってしまいまして。 ちょうどその頃、東野さんと別番組のロケでご一緒したんです。すると、開口一番「あれは、何なんだ?前々から言ってるけど、やっぱり、藤井君は気がふれているね」と(笑)。ただ「だからこそ、あの番組は君に似合っている。藤井君らしくていいと思う」と言ってくださったんです。 その言葉を受けて「実は、あの番組、終わるんです」とお伝えした瞬間、今でもあの感覚はなんだったのかと思いますけど、すべてが浄化されるというか、昇華したというか、気持ちがスッと楽になったんです。 いつも真実をおっしゃる東野さんが褒めてくださったからなのか、東野さんの言葉で自分の中の“つかえ”がポロッととれたのか、今でもハッキリとは分かりません。でも確実に、その瞬間、救われました。 こういうインタビューをしていただかなかったら、ホント、口にするとウソっぽくなるので一生言わなかったと思いますけど、間違いなく、僕の恩人です。 ただ、最近は番組でもご一緒する機会がなく、こちらから気軽に「兄さん、ご飯行きましょう」とお声掛けもできないので、実はかれこれ2年くらいお会いしていないんです。いわば、タイミングを待っているような中なんですけど、これ、インタビューですから当然、世に出ますよね…。次、僕、どんな顔でお会いしたらいいもんなんですかね(笑)。 ■藤井隆(ふじい・たかし)1972年3月10日生まれ。大阪府豊中市出身。高校卒業後、サラリーマンをしながら、92年には毎日放送「テレビのツボ」でテレビデビュー。94年からは吉本新喜劇をホームグランドに活動を始める。同期はたむらけんじ、ケンドーコバヤシ、「中川家」、陣内智則ら。「ホット!ホット!」などのハイテンションギャグで全国区の人気を獲得。2000年には『ナンダカンダ』で歌手デビューし、同年のNHK「紅白歌合戦」にも出場する。05年にはタレント・乙葉と結婚し、長女も誕生。読売テレビ「発見!仰天!!プレミアもん!!!土曜はダメよ!」、朝日放送「ジモイチドライブ~地元の一番でおもてなし~」などに出演中。今年6月にはニューアルバム『COFFEE BAR COWBOY』をリリースした。今月15日には大阪・なんばグランド花月で上演される「ノンストップコメディ 出発進行!言うこと機関者」に出演する。 ■中西正男(なかにし・まさお)1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」に出演中。