競い合うルーキーに、復帰の4年生がもたらす相乗効果 東洋大学が17大会連続の伊勢路へ「勝負できる土台はある」
全日本大学駅伝関東地区選考会が6月23日に行われ、東洋大学が2位で17大会連続32回目の全日本大学駅伝出場を決めた。目指していたトップ通過とはならなかったが、1~3組で組トップを取り酒井俊幸監督の著書「怯(ひる)まず前へ」を体現する攻めの走りを見せた。 【写真】石田洸介は自らのペースを刻み、3組目のレースを支配した
松井海斗「チームのために勝ち切れてよかった」
1組目は酒井監督が「いろんなレースを経験させたい」という期待を込めてルーキーの松井海斗(1年、埼玉栄)が起用された。例年より早いペースでレースが進み、序盤は「しっかり引っ張ろう」という監督の指示通り、集団を引っ張る。5000mを過ぎたところで一度力をためるため集団の後方へ。残り7周で神奈川大学の滝本朗史(2年、智弁学園奈良カレッジ)と明治大学の成合洸琉(1年、宮崎日大)が集団を抜け出すが、松井は事前に決めていた通りラスト2000mから2人を追い、先頭に立って1着でゴールした。 松井にとってはこれが2度目の10000m。「最後の2000mでもう少し切り替えをするつもりだったんですけど、10000mの経験が少なくて力が足りないのかなという風に感じました」と課題を挙げた一方、「チームのためにしっかり勝ち切ることができて良かったです」と振り返った。 また、24着に終わった岸本遼太郎(3年、高知農業)は「チームのために自分ができてきたのかっていうのを振り返ると、まだまだで。気持ちだったり、直前の練習に向かう姿勢だったり、調整だったり、まだまだ足りないところがある。この失敗を覆せるように体も心も作っていきたいと思います」と自身の結果を悔やんだ。
宮崎優「ライバルとして負けたくない」
続く2組目には松井と同じくルーキーの宮崎優(1年、東洋大牛久)と網本佳悟(3年、松浦)が出走した。 東洋大は、1組目終了時点でボーダーラインの7位と5秒差の暫定8位。網本はレース中、スクリーンに映し出された暫定結果を見て、「(通過圏内に)入ってなかったのでここはしっかり2組目で上に上がらないといけないという思いがあった。最後は前を譲れないなと思って走っていました」。宮崎も1組目の松井の走りを見て「同じ1年生でライバルとして負けたくないという気持ちもありました。1組目の走りを見ていて、自分も頑張ろうと思えました」と振り返る。 5000mを過ぎても大集団となるスローペースが展開されるなか、残り4周となったところで6人に絞られた先頭集団に2人とも残ると、最初に仕掛けたのは宮崎。ラスト3周で前に出たが、「絶対に組トップを取ろうという気持ちがあった」という網本がスパートを制して1着でゴール。宮崎は4着に入った。 網本は今年、課題だったスピード強化のため1500mのレースに多く出場。今回はその成果が出る形となり「監督、スタッフ陣のことを信じていろんなことをやってきてよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。