湘南の福田翔生が明かす7試合ノーゴールの焦りとプレーの変化「自分の得点でチームを勝たせたいので...」
チームメイトやファンからのサポートも
「力が入りすぎている感覚がある」 6月26日のJ1第20節・川崎フロンターレ戦(1-1)後の、湘南ベルマーレの福田翔生の言葉だ。23歳が明かした焦りは、近頃のプレーにも表われていた。 【PHOTO】大量得点を呼び込む大声援を送り続けた湘南ベルマーレサポーター! 今治、YS横浜でプレーし、昨夏、湘南で初のJ1の舞台での挑戦をスタートさせた福田は今季、4月13日の8節・横浜F・マリノス戦(2-2)でJ1初ゴールを挙げると、5月25日の16節・ジュビロ磐田戦(2-3)までに6得点をマーク。ストライカーとしてチームを牽引し、ブレイクの兆しを見せていた。 ただ6月に入ってからは決定機でシュートを枠に収められない場面が続く。7月14日の23節・磐田戦(5-0)までの7試合で無得点と苦しみ、自身のプレーにも納得がいっていないようだ。 特に福田の焦りを感じたのが、19節のFC東京戦(0-1)だ。数多くのシュートを放ったが、距離のある位置から強引に狙ったものが多かった。“なんとしてでも自分が決める”という想いが強すぎたのだろう。試合中には2トップの相方のルキアンから「パスを出せ!」と身振り手振りで要求される場面もあった。 ただ、浦和戦や7月10日の天皇杯3回戦・東京ヴェルディ戦(1-0)、磐田戦では福田のプレーに変化が感じられた。以前よりも球離れが良くなり、味方との連係で局面を打開する回数が増えたのだ。実際、浦和戦では90分の石井久継のゴールをアシスト。90+2分のルキアンの決勝点も、ボックス付近で福田が田中聡に出した横パスが起点となった。 プレーの変化の背景には、山口智監督からの言葉があった。 「智さんに『数的有利の方を使ってもいいんじゃないか』と言われたのが大きいですね。そうすれば、自分の選択肢も増えるし、最後に自分に巡ってくる可能性も高まる。自分の得点でチームを勝たせたいのでシュートを打ちたい場面もあるけど、力が入りすぎてしまう時もあるので、もう少し力を抜いても良いんじゃないかな、という考えもあって、周りを見るように心がけています。最近、味方との連係は上手くいっていると思います」 手応えを語った一方、福田の表情は晴れない。約1か月半、ゴールから遠ざかっているだけに、自分の得点でチームを勝たせるまでは心のモヤは晴れないのだろう。 もっとも、苦しむ福田はチームメイトやファンからの温かいサポートも受けている。決定機を外してピッチに倒れ込んで悔しがれば、石井が駆け寄って言葉をかけてくれ、試合後に落ち込んでいると主将のキム・ミンテが鼓舞してくれる。浦和戦後には、普段は歌われないタイミングでサポーターから、福田のチャントが送られた。 「今は周囲に助けられている」と語る福田は、たくさんのエールを背に殻を破れるか。恩返しとなるゴールを決めたい。 取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)