天皇陛下「お気持ち」は国民と政府へのメッセージ にじむ生前退位への意向
天皇陛下は8日、象徴天皇としての務めについて「お気持ち」を表明されました。先月、陛下が「生前退位」の意向を示したと報じられ、大きなニュースになりました。今回、直接言及されることはありませんでしたが、陛下が示したお気持ちをどう受け止めるか。皇室の歴史に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次教授に聞きました。 【動画】天皇陛下がお気持ち表明 「象徴の務め」果たすことが難しく
82歳のいまも多忙な公務
「80を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることも」 「2度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった」
11分間のビデオメッセージの中で、陛下は「高齢化」「身体の衰え」に幾度も言及されました。そして、今後の天皇としてのあり方について考えるようになり、「これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないか」と案じられました。「(天皇の高齢化で)国事行為やその象徴としての行為を限りなく縮小していくことには無理があろう」とも述べ、生前退位への意向をにじませました。 82歳の陛下は、現在も国事行為や国内外の訪問、宮中の祭祀などで多忙を極めています。2003年1月に前立腺がんの手術で前立腺を全摘出。2012年2月には心臓の冠動脈バイパス手術を受けましたが、術後も多くの公務をこなされています。 小田部教授は「もう限界。実態として『ぎりぎり』の状態」だと話します。公務など予定の数は今年6月までの半年だけで400件を超え、「国事行為だけでなく、象徴天皇としての公務も増えている」。少しずつ見直しは行われていますが、即位のときから「象徴天皇」として仕事をされてきた陛下の公務は、昭和天皇の時と比べても倍増しているといいます。 これまで地方や被災地を巡って国民と触れ合う行幸啓や、外国を訪問する国際親善などを続けてこられました。戦後70年の昨年には太平洋戦争の激戦地パラオを訪問しています。「象徴天皇としてやるべきことを考えてお務めをされてきた。それによって平和と安定をもたらしてきたという思いがあった」。 昨年末の記者会見で、陛下は「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と高齢による間違いに自ら言及されることもありました。